« 口腔ケア | トップページ | 無条件肯定 »

2006.01.14

坂道ズルズル

 郵政が民営化されたアメリカに住んでいた私は、個人的には日本の“郵政民営化”には反対だった。アメリカの郵政事業を行うUSPS(30年前に公社化)の仕事は本当に酷くて、配達先は間違う、折り曲げられたら困る物は折り曲げる、融通は利かない、仕事はいい加減。そのうち、「USPSの仕事だから・・・。」って感じで諦めてしまって、逆にキチンと普通の仕事をする職員がいると、感動してしまっていた位で、公社なのにそこまで酷くは無い上に、完全独立採算制で、国庫を食いつぶすどころか国に金を貸しているくらいな郵政公社を民営化する事と、公益性が高くても不採算部門は切り捨てる、残酷な市場主義システムに『通信事業』を投げ込む事には同意が出来なかった。
 確かに、民営化前の郵便局員にも酷い奴は沢山いた。しかし、そいつらが民営化したら全ていなくなるのか?と言うと、絶対にそんな事はないと思う。職員の職業倫理なんてものは民営化したらよくなるなんて簡単な物では無い事は、民営化した鉄道会社や電話会社、利益優先で市民を欺き暴利を得ていた、得ている私企業や私設検査機関を、引き合いに出すまでも無く判ると思う。
 郵政事業の民営化は、簡易保険事業で儲けたかったアメリカ保険業界と、彼等を支持基盤とするアメリカ政府の要求に、小泉自民党が応えた。と言う面が大だが、私は他にも、自民党政府は心理学で言う所の「Foot in the door phenomena」(一旦ある方向に転がり始めたら、とどまる事無く転がり続けてしまう現象)を利用しているのかもしれない、と考えている。「Foot in・・・」の特徴として、最初は簡単で受け入れやすい物事から始めて、少しずつそれのレベルを上げて行き、最終的には最初の一歩を踏み出した頃には絶対に受け入れられなかったような事まで受け入れてしまうという働きがあって、これは、詐欺師や悪徳商法セールスマンも悪用する心理学的手法でもある。
 IMFWTOG8の所業を考慮に入れると、現政府がやりたがっている事は明瞭で、それは、選ばれた上位だけの利益を最大化し、それ以外の多数派を搾取対象として、しかし彼等が搾取される以外に選択肢が無い状況を確立・永続化させる事にある。
 そして、その事を念頭に再考慮した場合、小泉政権の言っていた「郵政民営化は改革の本丸」と言うのは国民を欺く大きな罠で、郵政民営化は「Foot in the door phenomena」の最初の1ステップに過ぎず、この後、少しずつ、しかし確実に、私達庶民にとってはより重大で、受け入れ難い改革が次々と断行される可能性が考えられる。これまでも既に自民党政権は、「小さな政府」と言いながら、公益性の必要な分野を次々と営利企業に丸投げしてきた。各部門での検査や、通信、交通は既に営利企業のハゲタカどもの餌場と化したが、これから、さらに公共サービスが営利企業に売り渡されるかもしれない。例えば、水道事業が民営化されて、蛇口から出る水が、飲める水と飲めない水に分けられてしまうかもしれない。もちろん飲める水はミネラルウォーター並みの値段になるだろうし、飲めない水でも、雨水よりはマシ。と言う事で、可能な限り高価になるだろう。医療や教育も、良質のそれは高額所得者以外は受けられない世の中になるかもしれない。(既になりつつあるが・・・)
 郵政民営化は決して“改革の本丸”などでは無く、それはこれから始まる大改悪時代への最初の一歩に過ぎず、“改革”という名の大衆支配作戦上に立ちはだかる、小さな砦の一つに過ぎなかったのかもしれない。

 非営利のしっかりとした検査機関に実権を持たせ、それをきちんと機能させてさえいれば、公的機関でもサービスの質を維持する事は可能な筈だ。医療・教育・福祉や、他にも公益性の高い分野は、営利企業に任せてはいけない。私はそう考えている。


面白かったらクリックしてね。Banner2_8 

|

« 口腔ケア | トップページ | 無条件肯定 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/8531/8147893

この記事へのトラックバック一覧です: 坂道ズルズル:

« 口腔ケア | トップページ | 無条件肯定 »