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2006.01.28

職員<利用者

 組織。というものは色んな人達で構成されているのだが、私は今の職場で、どうしても馴染めない先輩職員がいた。

 私が他人にとって「言い易い人」だろうと言う事もあるが、そのおばちゃんはいつも僕に対して、物凄く細かい事まで、すっげーキツい言い方で厳しく指摘してくる。
 もちろん、こちらの物覚えと要領の悪さに、一緒に仕事をしていてイラつく事もあるのだろうが、その指摘はとことん細かく、キツい。

 その日、僕はその方と組んで業務をする事になっていたが、やはり至る所で、まるで『重箱の隅をマチ針でつつく』ような指摘を受け、
 冒涜すれすれ。
 ってくらいにキツい小言を言われ、(俺を怒鳴る事でストレス発散してるんじゃないよな?)とか感じ始めていたその時、

 「まったくもう!そんなやり方じゃダメでしょう?」

 の言葉に、
 (え?こっちはずっとそうやって来たんですけど・・・)
 と思っているとその方は僕からそれを奪い取り、僕が初めて見るやりかたでそれをやり始めた。

 だがそれは僕が(おお!)ってなっちゃうような、実にきめ細やかな対応で、(次から僕もそうやろう)って即決してしまう程だった。

 で、早速次からそのやり方を試すのだが、僕がそれをやると、何故かイマイチ上手く行かない・・・。モタモタしてたらもちろん怒号が飛んでくる。

 「何やってんの!?そんなのじゃ時間が掛るだけでしょ?」
 「はぁ・・・どうやればいいか良く判らなくて・・・。」
 「もうちょっとアタマを使いなさいよ!それをそうやってされる利用者の立場になって考えて見なさい!あんた、自分が人からそんなやり方されて、好い気持ちがするかね!?」

 この嫌味なおばちゃんから出たこの言葉で、これまでこの方から言われていた指摘が全て、一つのキーワードで繋がった。それは、


 『利用者満足』

 業務に追われがちな我が職場において、マチ針で重箱の隅をつつく様な指摘も全て、
「時間内で、効率良く、そして利用者にとって心地良く」
 業務を仕上げる為だったのだ。

 利用者中心に仕事を進めるのは簡単だ。人的資源を増やして一つ一つに手間と時間を掛ければいい。
 現に今も存在している、お金持ち高齢者を相手にした高級ホテルの様な養護施設では、サれが実行されている。

 業務中心に仕事を進めるのもそれ程難しい事ではない。効率最優先で手順を決めて、それに従ってさえいればいい。
 情動を排した効率優先のそんな仕事なら、ロボットにだって出来る。

 その、相反する二つの要素を組み合わせて、Betterを求めて(Bestは存在し得ない)プロとして仕事をする。

 その職業人としての姿を垣間見た時、この嫌味なおばちゃんが(も?)、「尊敬する先達」に変わった。

 職員である僕には徹底的に厳しく当たる。絶対に妥協は許さない。それで職員から怨まれようがどうなろうが関係無い。全ては利用者満足の為。『利用者満足の追求』は、サービス提供者としての必要最低条件であるので、それが受け入れられないのなら、静かにこの業界から立ち去るしかない。
 介護業界のmain clause(主節)はあくまで利用者であって、職員はsubordinate clause(従属節)に過ぎないのだ。

 業務を終えて後片付けをしているその時、

 「あたしやって、もっと利用者に満足してもらえるような仕事をしたいよ。けどそれをやったら時間内に仕事が終わらんきに、そらジレンマはあらあねぇ。」

 土佐弁を交えてそう呟いたそのおばちゃん先輩の後姿に、後光が差しているように見えたのは気のせいか?



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コメント

ふふふ・・・mizzieさん、開眼されましたね!
今まで何度も「要領が悪いから・・・」という類の自己分析をされていましたが、きっとこのことが抜けてたことを暗に指摘されていたのでしょうね。ともあれ、ご自分で気付かれてよかったです。手際が悪くても、「自分のされたい介護方法」をしていくと、自然にうまくできるようになりますよ。頑張って!

私はいよいよ試験です・・・あぁ~会場までが遠いよ~・・・。

投稿: hana | 2006.01.29 06:06

少しずつ、少しずつではありますが、色んな事が改善・向上されつつあるようです。
昨日よりもいい今日、今日よりもいい明日、それを繰り返して自己向上させるべく、最善を尽くします。

 一緒にホームヘルパー1級講習を受講している人達からも、「今日は介護福祉士の試験日だよね~」って話題になっていました。ちなみに受講していた皆が、「実務経験年数に達したら受験する!」って言ってます。
hanaさんにいい結果が訪れる事を願います。

投稿: mizzie | 2006.01.29 18:58

いい結果、訪れなかった・・・。
難しかったです・・・てか、うっかり夜更かししてしまい、あまりの難しさにうっかりうとうとしてしまいました・・・。(「あと10分です」のアナウンスで起きた)
個人的には、介護福祉士試験の未来は暗いと思います。今後は社福士が脚光を浴びると思う・・・てか、あんな会場(インテック大阪=巨大見本市会館)に15000人も集まってやることじゃないわ・・・。

投稿: hana | 2006.01.30 00:40

まだ結果は出ていませんし、結果がどうであれ、それに拘らない事もある時には大切ですよ。
全てを完璧にこなす人なんていないと思うし、必要な事がこなせていたらそれでいいと思います。

少なくとも、これまで学んだ事は確実に知識として残り、身に付いたでしょうし、何事も経験ですよ。

投稿: mizzie | 2006.01.30 22:05

そんな風な志の方がお仕事に就いていてくださるので、
私達は安心して、施設に任せることができるのです。
ありがたいことです!
私の見る限り、みなさん介護に関する知識だけでなく、
そういう志も身につけておられると思います。

投稿: えびすけ | 2006.02.02 15:18

僕はまだ実際に目にした事はありませんが、介護を”商売”と考えている方もいるようです。経営者だけでなく、実際に前線で働く介護員にも・・・。
”利潤”や”賃金”を考えた場合、そこでは人道主義が入る余地が無くなるので、記事本文に書いたような職員はそこに所属する事が出来ないと思います。

 介護業界は、一部のお金持ち高齢者対象の介護ビジネス以外では”カネ”と”モノ”でのRewardは微々たるものですが、充実感と達成感は僕の経験した職種では最大です。だから、唯物的なモノよりも精神的なモノの価値観を重くする僕の様な人間には、とてもやりがいのある仕事です。

投稿: mizzie | 2006.02.02 18:48

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