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2006.02.01

日本国憲法第二十五条

 *日本国憲法第二十五条*
 “すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。”

 私の職場に入所している入所者の中で、脳梗塞等で身体機能に障害を持ち、しかし脳機能の情動領域には問題が少ない・或いは皆無な高齢者は殆ど全ての方が、介護者からの介助に対して感謝の意を表すだけでは無く、それを受けながら生きている(それなしでは生命が成り立たない)自分を責め、自己否定的な発言を繰り返す。そう言った入所者に対して、私は上に挙げた憲法二十五条を物凄く判り易い土佐弁に言い換えて説明し、“あなた達にはそれを受ける正当な、また当然の権利”があって、“私達はただ、その権利行使のお手伝いを生業にしているだけです”と応えている。
 世界人権宣言でも謳われてもいる(そして日本国政府はそれを批准している)様に、加齢による生活能力の低下は不可抗力なのだ。そこには個人の自己責任など皆無だ。日本は憲法で基本的人権を保障し、世界人権宣言にも批准しておきながら、この事実を公的にアナウンスする事が殆ど無いのは、恐らく、現政権と彼等の支持基盤である一部の特権階級層にとっては、加齢による能力低下に対する公的扶助を、国民全てが主張し始めると困る事になると、特権階級層(富裕層)の利益が減少するからと言う事なのであろう。米・英の二大国よりはまだマシだとは言え、日本にも(富裕層の利潤最大化の為には)「言うべきでは無い事」が存在すると言う事なのだろう。建前上では国民は全て、法の下での平等が憲法でも謳われているのだが、実際には、日本の社会システムは富裕層の幸福追求の為に機能している。
 例えば、整備新幹線建設の為に建設会社に支払った・支払う予定の予算総額があれば、介護保険の赤字分など一瞬で吹き飛ぶのだ。日本の年間防衛予算の約半分もあれば、3秒に1人の割合で死んでいる世界の貧困国の子供達の内の2億人に、一年間の食料援助が出来るのだ。昔、赤字に苦しむ大銀行を救う為に使った公的資金があれば、世界中の貧困国に住む子供達に義務教育を施し、混同ワクチンを接種して感染症による死亡率を減らす事も出来るのだ。つまり、日本国憲法に、世界人権宣言に、国家がそれらに則った行動を取ると、富裕層への福祉予算(納税者の税金を彼等の為に使う事)が減る事になるのだ。
 基本的人権に関する知識は、為政者・特定の富裕層(いわゆる“勝ち組”)が、最も国民に知識を得て欲しくない分野でもある。その政策が変わらない限り、加齢による生活自立度低下によって必要な介護を自己資金だけで賄えない者は“負け組”として”怠け者・無能者”と定義される事になるだろうし、加齢による能力低下を、自己否定に繋げる高齢者が減る事はないだろう。
 そしてそれは長期的に見て、日本と言う国自体が不安定な方向に向かう事になるのではないのだろうか?最も、たとえ日本がそうなったとしても、富裕層は国外に移住(潤沢な資金があれば”投資移民制度”を利用して永住権を買う事が出来る)してしまうだろうから彼等にとってはどうでもいい事なのだろうが。


 最後に、世界人権宣言の第二十五条をここに載せておく。

 *世界人権宣言第二十五条*
 “すべての人は、衣食住と医療および必要な社会的施設等により、自己的および家族の健康と福祉に十分な生活水準を保持する権利を有し、失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他の不可抗力による生活不能の場合は、保証を受ける権利を有する。

 繰り返して言うが、日本政府はこれを批准している。つまり、これらは全ての日本人に適用されて当然の権利
なのである。



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