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2006.03.05

欲求階層論

 心理学の世界では古典的と言われたりもするが、Abraham Maslowアブラハム・マズロー)の提唱したこの『欲求階層論』が、ヘルパー1級講習でも、人間の欲求や動機付けへの解説に利用されていた。
 私はマズローについては、あのスタンフォードでも心理学を教えているという、シティカレッジで大人気だった心理学博士のクラス(楽しいけどハードでした・・・)で学んでいたが、一部の日本人は、マズローの提唱する5段階の欲求について、少し誤解釈しているのではないか?と思った。
 マズローの5段階の欲求説では、下のレベルの欲求が満たされると次の段階へと欲求が移るのだが、それは下から順に、1)
Biological need (生理的欲求)、2) Shelter & safety need (安全欲求)、3) Love & belonging need (愛情と所属欲求)、4) Esteem need (自尊欲求)、5) Self actualization need(自己実現欲求)となっている。私のノートにはこれらについて、1) は水と食べ物。2) は家など暖かさと安全を提供する物。3) は愛するパートナーと共に家庭を持つ事などと定義され、4) は社会の中で他人から認められ、それによって自尊心を満たす事への欲求、最後の5) は自己を高める、又は、唯一の可能性を持つ自己の発見への欲求。となっていた。
 これが”階層論”と言われるのは、これらは欲求の段階が上に行くほど、それに辿り着ける人が少なくなるので、この説明をする時は大抵、ピラミッド型の図と共に示されるので、そう呼ばれるのだそうだ。
 基本的にこれらは段階的に進み、下位の欲求が満たされないと次に進めない。と心理学書などでは説かれているが、上に挙げた教授はいくつかの例と共に、「稀に、段階をスキップして2、3段階上の欲求に辿り着いたり、5) を叶える為に2)や3) が犠牲に、つまり生命を危機に晒す事がある。」とも語られ、マザーテレサやマハトマ・ガンジーが例として挙げられていた。
 教授が例に挙げた2人からも判るように、5) の段階にまで辿り着ける人はとても少ない。

 それとはまた違って、日本で誤解されていると感じたのは、邦訳されると誤解を招き易いのかもしれないが、4) と5) は少し混同されているのではないのかと思う。
 大学での授業では、Self esteem needとSelf actualization needにはbig difference(大きな差)があると学んだが、その例として、4) は物欲・所有欲・名誉欲に結びつき、しかし5) は、社会正義の実現とか、弱者救済とか、精神面の美しさや高貴さへの欲求に結び付く。と教えられた。
 しかしながら日本では、5) が『お金持ちになって豪華な家や車やヨットを所有したり、高い地位について多くの部下から認められる事への欲求』と解釈している人もいるようで、マズローはそれを4) と定義付け、それを超越した者だけが5) に辿り着くと説いたのに、邦訳過程で誤解釈されてしまったようである。

 確かに、原書を読まずに『自己実現欲求』という言葉への説明も無いままに、邦訳版だけを読んだ人が、その人の精神レベルで自己実現を「自分の夢を叶える事」と解釈し、結果、4)と5) が殆ど同じになってしまったのだと思われる。

 もし、そう誤解した人が多数派日本人を占めていたのだとしたら、日本社会はSelf actualizationのレベルにはまだ達していない。
 自尊心を満たす事、物欲・金欲・所有欲・名誉欲にその欲求が傾注されている、心理的・精神的・道徳的には未発達な段階のまま。という事なのだろう。

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