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2006.03.18

変える事。変えない事

 これまでの経験が全く役だたない様な環境に飛び込むと、大抵、そこでは物凄い奮闘が必要となる。移民ビザ片手に渡米した時もそうだったし、帰国して介護職に就いている今もそうだ。
 ただ、その中で奮闘を続けていると、いつの間にかそいつをモノにして、その中で適応している自分に出会う事が出来る。
 自分にはそのポテンシャルがあると信じているし、無ければ鍛えて作り上げてやる!くらいの志もある。

 逆に、組織や集団である程度の地位を得て、その状態に満足してふんぞり返っているような奴には絶対になりたくない。
 宮沢賢治の詩で、僕がとても気に入っているのがあって、そこでは

賢治もこう詩っている。

 「・・・・・なぜならおれは
すこしくらゐの仕事が出来て
そいつに腰掛けているやうな
そんな多数をいちばん
いやにおもふのだ(中略)
みんなが町で暮らしたり
一日あそんでゐるときに
おまへはひとりであの石原の草を刈る
そのさびしさでおまへは音をつくるのだ
多くの侮蔑や窮乏の
それらを噛んで歌ふのだ(中略)
ちからのかぎり
そらいっぱいの
光でできたパイプオルガンを弾くがいい」
(宮沢賢治;「告別」『春と修羅 第二集』より)

 人間って奴は惨めな生き物だから、ラクをしようとすればトコトン低きへと流れていく。その主体にとってはとても安楽で心地良い状態でもあるそれは、客観的に見るととても醜い状態でもある。“見栄っ張り”で、“外面を気にする”僕は、それが如何に醜いか、その実例を沢山見てきたから、そんな人間には絶対になりたくない。

 だから変える。

 “停滞”とか“安穏”とかの空気を自分の中に感じたら。
 とにかく、一旦その場所・環境の外へ出る。
 そしてそこで何かを得る。
 それはもしかしたら、どうしようもない下らない・無価値な物かもしれないけれど、とにかく『自分の嫌いな自分像』に自分が近付き始めた時、自分が安定し始めた時、僕はそこをぶっ壊したくなる。そこに居たくなくなる。それを変えたくなる。
 だって、居心地が良すぎるから。

 自分にとって馴染みの無い、居心地の良くない場所へ行って、自分を試してみたくなる。自己向上の可能性に挑戦したくなる。

 様々な理由で止むを得ず、『挑戦者』である事を諦めざるを得なかった仲間達がいるから、もし僕が自堕落に流れたとしたら、あの気持ちのいい連中は、きっと僕を軽蔑するだろう。だから、そこに自己向上の可能性が少しでもある限り、それに賭ける姿勢は変えたくない。
 仕事が全てルーティン化した状況で、それらの全てを完全に分化してモノにしてしまえば、毎日の仕事はラクな事この上ない。しかし、そこには自己向上の可能性は0だ。ラクチンだけれど、ゆっくりと腐っていく様な環境にいるくらいなら、居心地が悪くても、タフでハードでも、自己向上の可能性がある場所にいたいと思う。もちろんそんな所にこの歳で飛び込むのはとてもハードだ。そこでのシステムや利点を吸収するまでは苦労の連続で、年下の上司や先輩にこき使われたり、打ちのめされたり落ち込んだりの連続だ。だけど、

 あいつなら、きっともっと上手くやってのけるだろう。あいつなら、これくらいの屈辱なんか何とも思わなかっただろう。


 だから変えない。


 独りで考えて決断して勝負しているけれど、一人で生きている訳じゃないから。

 こっちは、不本意にも挑戦権を捨てざるを・諦めざるを得なかった、そんな仲間達の意志を、遺志を、背負っているんだから。

 泣き言なんか言ってたら、(今はヴァルハラに居るはずの)あいつらに笑われちゃうよ。

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コメント

トラバ返しさせていただきました。
とはいえ・・・私かなりなまけものなもので、意外と居心地のよさから抜け出せなかったりするんですよね~。ま、今回は強制的に働けなくなるわけで、一応理由付けができてるのですが。
人と関わる仕事だからこそ、常に新しい視点で物事を見ていかないと、あっという間に取り残されてしまいますからね~。

投稿: hana | 2006.03.18 01:16

 これは介護だけに限った事では無いでしょうけれど、やはり、常に物事に対して懐疑的姿勢で、時には理論や法則、自分自身にさえも疑いの目を向ける姿勢で居続けたいと思っています。

 自分を磨き続けるのってすっごく骨の折れる仕事だし、磨き続けている間はその変化って中々目につかないんだけど、磨くのを止めたら、あっという間に錆びちゃいますからね・・・。
 取り残されて、錆び付いて、腐っていくのは、堕落の三段活用ですよね。

投稿: mizzie | 2006.03.18 21:51

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8月で仕事を辞めるわけですが(出産2ヶ月前につき)、仕事を辞めたら次はしばらく介護の仕事から離れてみようと思っています。 どんな職業についている場合でもそうだと思うのですが「その職業のことしか知らない」というのはある意味致命的だと思うのですよ。介護職は自分より歴史を持っている人のお世話をする仕事・・・それなのに介護のことしか知らない、介護職としての世界しかもっていない、というのは仕事をするうえで決してプラスにはな�... [続きを読む]

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