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2006.04.18

デイ実習

 ホームヘルパー1級講習で楽しみにしていた課題の一つでもあった、デイサービス実習がやってきた。施設実習をした老健施設に併設されているデイサービス施設での、デイサービス実習だ。
 在宅で暮らす、施設入所者よりも介護度が低くADLの高い人が殆どなので、言語でのコミュニケーションが困難な方も殆どおらず(数名いた)、介助内容も「見守り」が医療介護とは比較にならないくらい増える。
 介護度が「要支援」レベルの利用者も多い。

 職員の一日の流れとして、申送→利用者受け入れ→バイタルチェック→入浴→リハビリ→昼食→レクリエーション→トイレ誘導・排泄介助→おやつ・水分補給→送迎→ミーティング、
 で終了となった。

 利用者のADLが高い分、医学的観察が必要な人や、寝たきりになってしまった人が殆どを占める医療介護の現場とは、また違った注意点や警戒箇所があるのだが、処理能力以上の業務に追われるような事もあまり無く、それならば仕事に燃え尽きる事も少ないだろうし、やりがいや達成感はより感じ易いかもしれない。

 受け入れやバイタルチェックや入浴や昼食や排泄介助と言った業務の合間は、利用者はテーブル毎に小グループで談笑に興じ、職員も比較的のんびり出来る時間帯ではあるのだが、実習生として職員から、「利用者とコミュニケーションしててね。」と言われ、ホールに並べられたテーブルをあちこちと会話をしながら周っている時、ふと気付いた事がある。

 集団の中に入っていけず、ホールの隅で一人でぽつんと佇んでいる方が何人かいるのだ。


 デイサービスの目的として、利用者の社交性を促進する。というのがある。
 その、本来は社交性促進の場であるデイサービスで、孤立している利用者がいるのだ。
 生来の気質として孤独を愛する人なのか、極端に気難しくて他の利用者と打ち解ける事が出来ないのか、理由は判らないがとにかく話し掛けてみた。こちらは初対面の実習生であるので、自己紹介をきっかけに話掛けるのは簡単だ。
 関わられるのをうっとおしがるようなら、孤独を愛する性向だという事だから、それならばそのままにしておいてあげればいい。ただ、「コミュニケーションをしてきて」と言われて色んな人に話し掛けて周っているのに、その人を素通りする訳にはいかない。

 が、こちらの予想に反して、自己紹介→天気の話→出身地の話→って感じに、どんどん話が弾んでいった。僕から話しかけられたその方も、一人で座っていた時よりもはるかに表情が明るくなっている。
 どうやらこの方は、少し「打解け難い人」なのか、周りが高齢者しかいない中にいる事に違和感を覚えているのか、それ以外の何かであって、決して孤独を愛する性向の方では無さそうだ。

 この、「集団で何かをする事」に馴染めない人というのは、レクリエーション中にも見受けられた。
 デイサービスに来れば、入浴と食事が供され、健康チェックが受けられリハビリ施設もあるので、在宅高齢者にとって、特に独居の場合は、それだけでも利用価値は十分にあるだろう。
 しかし、多様なバックグラウンドを持つ、多様な年齢層(前期高齢者と後期高齢者では確かに違いがある)を相手にして、全く同じサービスを提供する。というのは、難しい面があるのかもしれない。生まれた時から集団主義社会だった高齢者にして既にそうなのだ。個人主義と多様性の洗礼を受けて育った団塊ジュニア達が介護保険の第一号被保険者になる頃には、その多様さ・柔軟さを求められる需要に、総合的・一元的サービスでの対処は不可能なのではないだろうか?



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コメント

機会があればGHもしくはユニット特養へ行って見てください。今回の記事になっているような事例がたくさんありますし、山のような問題点がはっきりと目に付くだろうと思います。
どんなときにも、誰に対してもケアプランにそった同等のサービスを提供するのが介護保険下での介護職員のあり方ですが、現在流行中(?)のユニットでそれを実現しようとすると・・・妙なことになっている場合がすごく多いのです。
かといって将来的には全特養をユニット化したい政府は、ハード面が整っていない特養でもユニットを推奨していますし、「ユニットケア」という言葉に踊らされて、それがさも良いもののようにとらえている職員が多いのも事実。ハード面・ソフト面以前に、職員一人一人ができること、ケアマネが面接の時点でどのようなケアをしていくかをもう一度再考していかなければなりません。

投稿: hana | 2006.04.18 07:36

私は障害者デイサービスに関わっていますが、「ひとりひとりに応じたサービス提供」というのは本当はものすごく難しいことだと思います。
職員は「何かを提供しなくては」と意気込んでいても、利用者の方は「ひとりで音楽を聴いていることが幸せであり、ストレス発散でもある」という場合があります。この場合は「ひとりで音楽鑑賞できる場を提供している」ことになりますよね。
反対に、「常に人と関わっていたい」という利用者の方もいます。
限られた職員数ではなかなか難しいところもありますが、個別の対応は必須ですね。

投稿: のり | 2006.04.18 13:17

hanaさん>
医療保険も介護保険も既に火の車になっている厚労省にとっては、庶民相手のそれは効率重視の一元化サービスで支出を最低限(最小限ではない)に抑えたいんでしょうね。
実習先で指導担当者だった介護福祉士さんも、介護業界の現状には不満を通り越して怒りに近いものがある様に感じましたが、ホント、志ある介護士には納得がいかない事が多いんでしょうね。
僕は、そーゆー不満を最小にた施設を、独立開業したいです。

のりさん>
恒常的に人員不足に悩まされている福祉業界にあっては、その「各人に応じたきめ細かな対応」と言うのはとても難しいだろうと思います。もちろん自分も、それが出来るような、同時処理能力と同時判断能力が劇的に高い仕事師を目指していますが、道は遠いです。


介護業界の矛盾点とか問題点とか課題とか、テーマ毎に分けて機会があればまた書きたいです。

投稿: mizzie | 2006.04.19 01:57

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