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2006.07.24

知るを楽しむ

 今、『知るを楽しむ 私のこだわり人物伝 ~チャップリン~』と言う本を読んでいる。

 映画を、喜劇を、芸術の域にまで高めた喜劇王、チャーリー・チャップリンには興味があったが、それがこの「知るを楽しむ」と言うNHKの番組で放送されているのを偶然目にして、テキスト本があるのを知ってすぐに購入した。

 ロンドンの貧民街で生まれ育った彼が、役者としてのキャリアを積み、アメリカで苦労を重ねて成功。

 
しかし社会批判的色彩の濃い彼の作風が時の権力者の不評を買い、ほぼ国外追放に近い形でアメリカを去った事。

 彼の秘書だった日本人、高野虎市にまつわるエピソードなど、

 この本は番組のテキスト本としてだけでなく、単なるチャップリン論としても、中々に興味深い本だった。
 チャップリンがその作品に、実に多様なメッセージを込めていた事なども、判り易く、かつ詳細に解説されている。例えば・・・。

 「独裁者」が、通訳の伝えている事とチャップリン演じる独裁者のセリフに大きなズレを持たせる事で、真実を伝えるニュースがフィクションを孕む危険性を告発し、現実とフィクションを主体的に見極める事の難しさを教えている事。

 「モダン・タイムス」のラストシーン、恋人と手を取り合って歩いて行くシーンが、夜明けに向かって歩く二人の影を、次のカットで逆方向に影が出ている(つまり、夕日に向かって歩いている)映像にする事で、希望への道はとてつもなく長く険しいと説く。その手法たるや脱帽である。

 この著者は最後に、チャップリンの映画が持つ多様性について言及し、

 「チャップリンの【多様性】、或いは異なった価値観と共に歩む放浪者の足取りにこそ、世界を一色に染めてしまおうとする「普遍性の暴力」に抵抗して、二十一世紀を共生の時代にするためのヒントがあると私は思っています。」

 と結び、単なる人物伝を政治性、メッセージ性のある論文にまとめている。

 僕が驚いたのは、この大野裕之と言う著者がまだ30代前半の若さで、映画学・舞台芸術論専攻で京都大学大学院博士課程修了という肩書きを持つ、チャップリン研究家だと言う事だった。

 一つの事を極めると、それで食っていく事が出来るようになる。その実例を見た気がした。

参照;知るを楽しむ 私のこだわり人物伝 チャップリン 著:大野裕行  刊行:日本放送出版協会 


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