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2006.07.02

リビング・ウィル(生前意思)の勧め

リビング・ウィル
 
生前に行われる尊厳死に対してであれば「尊厳死の権利を主張して、延命治療の打ち切りを希望する」などといった意思表示のこと。またそれを記録した「
遺言書」などのこと。(参照:フリー百科事典『ウィキペディア』)(Wikipedia) 


 個人情報保護の事もあるからあまり書きたくは無かったのだが、不条理と不正に怒りを覚える僕としては、ちょっとあんまりなので書く事にする。

 医療介護の現場と言うのは、ある意味凄惨ですらある。
 僕の職場には要介護度4か5の人しかいないが、その中で程度の差こそあれ、機能を回復させたり新たな能力を獲得したりする過程にある人は、全体の約3割だ。

 残りの人は、主治医の所見でも「現状では安定していますが、今後は緩やかに様々な能力が失われてゆくと思われます。」と言われるような、残酷な言い方をすれば、『ゆっくりと死んで行く人達』だ。

 でも、そんな人達でも、御家族が本当に少しでも長生きさせる事を望んでいて、こちらがアタマが下がる。って位に頻繁に面会にも来て、家族で出来る事を可能な限りやっている方もいる。プロの介護者であるこちらが、申し訳なくなるくらいだ。
 発語機能も殆ど消失しているそんな方達が、ケアしているこっちに「ありがと」なんて消え入りそうな声で言ってくれる時もあって、そんな時はこちらも、その方に対して愛着を感じるし、可能な限り生かせてあげたいとも思う。

 その反面、院に預けたままで全く面会になど来ない家族もいる。

 ここに勤め始めてもう8ヶ月。
 でも一度も会った事の無い家族がいる。
 6ヶ月毎の家族を交えた担当者会議には来るらしいのだが、僕の担当している入所者では無いので、もちろん会った事は無い。そして家族の意向は、「とにかく長生きさせてくれ」なのだそうだ。

 その方は四肢麻痺、発語無し、嚥下不可・流動食、24時間オムツ使用。
 そこに『人間としての尊厳』を見出す事は、僕には出来ない。
 正しく、生きる屍だ。

 こちらのケアを明らかに拒否しているとしか思えない時もあるし、本人は速やかに逝かせてくれ。って思ってるんじゃないか?って思える事もしょっちゅうある。
 でも、今の医学では心臓が動いている限り、経管栄養(チューブを通して流動食を直接消化器官に送る事)により、生体維持の為の栄養摂取は完璧にこなされるので、あと数年間は死なせてくれないだろう。

 全てこちらに任せっ放しのほったらかしのクセに、可能な限り生かせてくれとは一体どう言う事なんだろう?って思っていたが、過日に先輩職員から、その背景を聞く事が出来た。

 その入所者の家庭では、収入がその方の年金に100%依存していて、その方の家族にとっては、その方が死ぬ事で収入を絶たれるのはとても困るらしい。
 介護保険と医療保険のお陰で、生きる屍になってしまったその方に治療を続けても、充分にあまりある程の年金額がその方には支給されているのだそうだ。恐らく軍人恩給か何かだろう。


 本人の意思とは全く無関係に、
 
 『収入源の維持』
 
 ただそれだけの為に存在させられている人間。
 しかし、『可能な限りの延命』が家族の意向である以上、僕等はそれに従うしかない。
 自分の意志を伝える手段を失ってしまったその方が、今、一体何を考えているのか?

 ケアをしていて、時々辛くなる時がある。



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コメント

はじめまして。最近インターネットをするようになり、色々とパソコンをいじっていたらこのブログを見つけ毎日楽しみに拝見しています。私は介護にはまったく関係ない仕事をしていますが、このブログを読み色々と考えさせられます。これからもどうぞ宜しくお願いします。

投稿: hiroko.m | 2006.07.02 11:34

hiroko.mさん>
はじめまして!mizzie's cafeに、ようこそ!!
ここは原則的に毎日更新してますから、気ままに楽しんでって下さいね♪

投稿: mizzie | 2006.07.02 20:12

やるせない現実

投稿: | 2006.07.03 13:24

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