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2006.07.06

怠惰は人を腐らせる

 僕は高校を卒業してすぐに、レースの世界に飛び込んだ。
 初めはアマチュア色の強い草レースだったが、地方選手権に参戦する辺りから、「結果の出ない努力なんて何もしてないと同じ」という、厳しさが出てきた。
 速くなる為の努力も、ほんの少しでも気を抜くと、すぐに結果に現れる。

 成長が止まる。成績が悪化する。スランプに陥る。

 努力をしているのはライバル達も同じだし、下からは次々とやる気と才能に溢れた若い連中が出てくるので、そいつらに負けない位に、マシンやタイヤと言ったハード面の進化以上の速さを身に付ける為にも、とことんまで自分を追い詰める事が必要だった。

 しかしそれは誰かに強制される訳ではなく、全て自分で判断して自分でやらなければならなかった。周りには勝ちたい奴しかいないから、サボる奴が増えてくれたらその分ライバルが減るので、余程の親友でないと、他人がサボるのを咎める奴はいない。

 また、僕は所属チームが有名どころでもあったので、スポンサーを受けるレーシングライダーとしてのプロ意識と言う物を、監督から徹底的に叩き込まれた。

 98年のクラッシュでレースが出来なくなった後も、メカニックとしては似たような事をしていた。

 マシンが10000/1秒でも速くなるなら、それがどんなに些細な事でも、その作業に1時間以上掛かったとしても、躊躇わずにやる。
 不安材料を減らす為なら、マシンが少しでも良くなるなら、部品一個の為にサーキット中を走り回る。無い部品は自作する。
 スタート30分前でもエンジンを全バラする師には遠く及ばなかったが、目的の為には労力を惜しまない。それはメカニック時代も健在だった。

No P
ain, No Gain』だ。

 メカニック引退後、約3年のアメリカ暮らしを経て、今は日本的な共同体で、賃労働者として生計を立てている。労働基準法に忠実に従う中規模の民間病院という営利企業なので、福利厚生は比較的充実しているから、余暇時間を利用して資格取得に励んだり、通信制の学校で学んだりしている。

 僕はこの歳になるまで、日本的なサラリーマン生活という事をした事が無かったので、そこで働く人達を内側から見るのは、興味深くもある。

 しかしヌルい。

 どっからくるんだこいつらのこのヌルさは。

 空気に活気が無い。淀んでいる。

 現状に不満を言うクセに、それを改善する為に腰を上げることは絶対にしない。

  「いつか誰かがきっとどうにか」

 を待っているとしか思えない。

 希望っていうのは、待ってたらやってくるものではなくて、自分で作り出すものの筈だ。

 希望を作る努力なんてする気も無い。「No, pain・・・」は「努力なくして得る物なし」と訳されるが、こいつらは「努力したくないけど全部欲しい」って連中だ。

 現状に不満を言いながらも絶対に自分からは動かない、超受身な態度で、ただ「こなす仕事」をしながら、ゆっくり腐っていってい
るようにしか見えない。

 情熱は人を動かすが、怠惰は人を腐らせる。

 未来のリターンの為にリスクを取る事をひたすら避け、強きにへつらいながら影で文句を言い、弱者をストレスのはけ口に利用しながら、とことん低きに流れて行く。
 上への文句も影で言っている限りは、組織からの庇護が受け続けられるので、生きる事に絶望もしない。
 とにかく衣食住くらいは何とか出来る程度の収入はあるから、
 そして絶望すらもしてはいないから、
 そこから這い上がろうという動機も生じない。

 大体、仕事と言うものは、対価を貰ってする行為と言うものは、どんな事でもタフなものだ。
職業選択の自由が保障された国に住んでいるのだから、現状がイヤならさっさと退場すればいい。自分にとって居心地のいい場所を探せばいい。

 リターンを求めるくせにリスクは取らない。
 不満はあっても、改善の為の努力を自分がやるのはイヤだ。

 手を伸ばしても届かない物を取る為に、思いっきりしゃがんで飛び上がろうともしない。
 
 何があの人達にそれをさせるのか、またさせないのか、
 それは、文化人類学を学び、比較文化論にも興味のある僕にとっては、知的好奇心をそそられる事象でもある。



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コメント

最近お気に入りのマンガ(アニメにもなっている)「カペタ」という、レーシングカートをテーマにしたものがあるんですけど、そのなかでも「勝負」についておなじようなことが述べられています。アツい主人公を描かせれば右に出るもののいない曽田正人先生の作で(「め組の大吾」とか「昴」とか)、かなり読み応えありますよ。日本がこんなアツい若者ばっかりだったらいいのに・・・って思います。

確かに、現状に不満を言うわりに現場を変えようと動く人間ってあまり見かけませんね・・・。mizzieさんの現場は変わりつつありますか?見てる人は必ず見ていると思うので、マイペースでゆっくりでも進んでいってくださいね。ただし心と体のケアも同時進行で!

投稿: hana | 2006.07.06 08:55

うっ!い・・いたい・・!心が痛いー!
そうなのです。不満だらけだけど現場を変えられない、変えることができない、臆病者な私なのですー。。
だってこの世は弱肉強食。弱いものが食いつぶされる時代なんです。。弱いものが吠えても・・・・
あぁ、臆病者だなぁ・・私は。

投稿: りえぽん | 2006.07.06 19:08

hanaさん>
 カペタ、CSでアニメ版を見た事がありますが、レースについては良く書けてると思います。人間に関しては実際、2輪もトップクラスの連中はあんな感じです。
 現場を変えなきゃ!と思ってる僕はその権力・発言力が無いので、力をつけるまでは黙って仕事をこなす日々です。
りえぽんさん>
 りえぽんさんの不満は組織にではなく、制度に対しての部分が多いと思うので、個人での対処が不可能な領域の事が殆どだと思います。

投稿: mizzie | 2006.07.08 00:09

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