« 「もし」を考える | トップページ | 『地デジ』という名の低所得者イジメ »

2006.08.04

ここに来ちゃダメだ!!

 最近、政治・国際ネタが続いたので、今日は久し振りに介護関係の記事を。


patient (名)患者、病人《古》受難者、犠牲者
client  (名)依頼人、顧客、福祉サービスを受ける人

 ヘルパー1級の実習先だった老健で、1級の実習と言う事で、そのフロアで最もADLの低い方を僕が介助させてもらったのだが、指導担当だった介護福祉士さんが、
 「この○×さんも、一年前は食事も自立だったし生活全般にADLもっと高かったんだけど、体調崩して療養病棟に入院して、帰ってきたらこんな状態になってたんだ・・・。」
 と、悲しそうに話していた。
 指導担当をするくらいだからこの介護福祉士さんも志の高い方で、老腱の雰囲気や利用者との関わり方を羨ましがる医療介護施設で働く僕に、「でも、僕はこれでもまだまだダメだと思っているよ。」と言っていた。

 もちろん、完璧な対応なんてものは存在し得ないけれど、理想を追う事を止めてはいけない。

 その介護福祉士さんの仕事への姿勢から、僕が学んだのはそれだ。

 しかし、自分の職場である医療介護施設の現状を鑑みるに、老健や他の施設から、「入院して帰ってきたらADLがごっそり下がってた。」と言われるのも無理は無いと思う。
 病院自体が病気を治す事に主眼が置かれているとは言え、今、自分達がやっている介護が、自立支援とは遠い地平に位置している事は、残酷だが事実だ。

 ケアマネが立てたケアプランには、もっともらしい事が書かれているが、業務に追われる現場では、プランに完全に沿ったケアが提供できてはいない。

 そうして、排泄は介助があれば自立していた人が、オムツ使用になる。

 自分でお箸を使って食事の出来た人が、自助具と介助が必要になる。

 かろうじて経口摂取可能だった人が、経管栄養になる。

 『寝たきり』じゃない。『寝かせきり』だ

 もちろん、様々な病気が緩やかだが進行し、様々な身体機能が緩やかに失われて行く過程にいる人が殆どなので、それは遅かれ早かれ訪れたのかもしれないが、在宅復帰を目的とした老健や特養とは異なり、『病気の治療』が主目的の医療介護施設では、自立支援よりも治療に重点が置かれる、と言う現実もある。

 しかし、ちょっとした誤嚥性肺炎やリューマチ治療などで短期入院してきた人でも、自立支援となるような介護や訓練が殆ど行われないので、その短期の入院期間中、ほぼ確実にADLは低下を余儀なくされる。

 人生の終末期を、病院で過ごす事は可能な限り避けるべきである。

 症状の進行を遅らせたり、特定の疾病を治癒する事に主眼が置かれるのが病院だ。
  そこでは、人間として本来なら与えられて当然の様々な権利が奪われ、逆に、あってはいけないような物事を課せられたり与えられたりもする。

 そこでは、個人の尊厳は守られているのか?

 いいや、全く。

 病院に来た人はpatientとして扱われ、決してclientとしての待遇をしてはもらえない。
 時々、patientが『患者』としてではなく、古英語である『受難者』にされていると感じる時もある。

 それが、医療介護施設で働いている僕の実感だ。

 繰り返して言う。
 終末期を病院で過ごしてはいけない。


↓面白かったらクリックしてね♪

http://blog.with2.net/link.php?268283
イマイチでもクリックしてくれると嬉しいな(はあと)

|

« 「もし」を考える | トップページ | 『地デジ』という名の低所得者イジメ »

コメント

いろいろあるのですね。
89歳の母は、療養病棟に3週間預かって頂いて、1週間前に帰宅しました。
とても良くお世話して頂いて感謝しておりましたが、mizzieさんの記事を読んで、改めてその病院の凄さに気付かされました。
療養中、19回のトイレ介助の日があって、身が縮む思いでした。
でも、担当の医師と看護婦さんに「ご家族の方、大変ですね」とこちらが気遣ってて・・・
カトリック教会が母体の病院で、母は短期から、長期まで7回入院。
いつも現状維持で戻って来ます。
母の永遠に生き続けるという強い意志も大きく影響しているような気がしますけれど。
たまたま近いから通い始めただけで、特別評判の良い病院でもないのですが・・・
何かあった時は、必ずその病院にします。
よい事を教えて頂いて有難うございました。

投稿: 優しい光 | 2006.08.04 23:10

優しい光 さん>
トイレ介助一日19回は凄いですね。
でも、やろうとしたら出来ない事ではないはずなんですよ。僕の職場がやってないだけ。
この事実は、悔しくもあり、情けなくもあり、恥ずかしくもある現実です。
優しい光さんの利用された病院のような所が、この国の療養病棟のスタンダードになる事を願ってやみません。

投稿: mizzie | 2006.08.05 01:30

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/8531/11251166

この記事へのトラックバック一覧です: ここに来ちゃダメだ!!:

« 「もし」を考える | トップページ | 『地デジ』という名の低所得者イジメ »