« ささやかな抵抗 学校編 | トップページ | 宗教について考える »

2006.08.17

明日は我が身 ~破綻した夕張市~

 「夕張メロン」や「夕張炭鉱」で知られる、あの夕張音楽祭なんてイベントが催されていたりもする、小学校高学年以上の日本人なら誰でも知っているであろう位に有名な街、夕張市がこの度、『財政再建団体』となった。

 財政再建団体というのを物凄く判り易く説明すると、その自治体の収支の均衡が崩れた結果、借金が物凄く膨らんで返済が極めて困難(って言うかほぼ不可能)な状態になり、自治体独自での借金返済が出来ないので、自治権を放棄して国の指導・監督の下で借金返済をするようになった地方自治体の事だ。

 もっと簡単に言っちゃうと、財政再建団体になった夕張市は、地方自治体として破産したという事だ。


 財政再建団体になると、自治体はその自治権を国にゆだねる事になるのだが、そうすると借金返済の為に国が助けてくれるのかと言うと、そんな事は全くない。

 財政再建団体となった自治体では、国家の(厳密には総務省)指揮、指示、監督の下で、大幅な歳出削減策と歳入増加策が実施される事になる。

 具体的に言うと、歳入増加策としては地方税の増税、保育料、住民票などの交付手数料、水道料、公的施設などの施設使用料が国基準の最高額近くまで増額される。
 歳出削減としては投資的経費(学校や道路建設など)が抑制され、環境、教育、福祉事業への予算が、基準の最低値近辺まで引き下げられる。
 つまり、財政再建団体になると、住民の公費負担額が上がり、行政サービスの質は著しく低下する。

 財政再建団体となった夕張市の市民はこれから、国が策定した財政再建プランによる公費負担増と行政サービス低下を受け入れ、財政健全化が達成されるまで自治体行政失敗の尻拭いを強要される事になる。

 ああ夕張市民もタイヘンねぇ・・・。なんて、この話は決して他人事ではない。

 地方自治体の借入金残高は2004年度で既に204兆円(その金額は一般歳出額の約3倍、GDP比の40.7%に相当する)に達し、2003年度の地方財政白書(総務省)によれば、地方自治体の歳入に占める公債依存度は14.5%に達している。一般に、財政に占める公債依存度が15%を超えると警戒ライン、20%が危険ラインと言われ、14.5%は全国平均値なので、20%を超えている自治体は全国に相当数が存在すると思われる。

 今自分が住んでいる街が、自分の知らない内にある日財政再建団体になるかもしれない。その可能性は殆ど全ての地方自治体に存在する。

 実際、私の住む高知市は歳入に占める地方債依存度が12.2%と辛うじて警戒ラインを下回っているが、高知県の黒潮町では20.7%と危険ラインを超えており(参照;高知県企画振興部市町村振興課)、ここも、いつ財政再建団体に陥ってもおかしくはない。
 全国規模で見れば、このように危険ラインを超えた財政運営をしている自治体は相当数が存在すると思われる。

 公務員の行政の失策の責任を住民が負わされると言うのは、一見アンフェアに見えるが、建前上とは言え民主共和制の政治システムを持つ日本において、行政の失敗に住民が責任を負うと言うのはある意味、理にかなってもいる。
 日本国籍を持つ市民には、行政府の行動を監視する権利がある。
 選挙権もある日本国籍保持者は、投票行動によって政治のあり方を選ぶ義務がある。
 財政再建団体に陥った自治体を、直接に運営する地方議会議員と首長を選んだのは、その行政区に住む住民なのだ。
 自分達が選んだ議員・首長の失策に、住民が責任を負うのは当然とも言えよう。

 行政府の失政に文句を言う資格があるのは、野党に投票した者だけだ。無投票は、当選した候補に投票したのと同じ意味を持つ。
 投票率50%の選挙で過半数を得て当選した候補は、全体の4分の1の指示しか得ていない。投票率が現状並みに悪ければ、全体の25%の利益代弁者が全体を支配出来るのだ。
 そうして、その2割ちょいの支持しか得ていない連中がやりたい放題をやった結果、この国はこんなひどい国になった。でも、それを政治家のせいにするのは国民の責任逃れ以外の何者でもない。

 財政再建団体に陥った自治体は、住民の支持を得てその政治を行って来た。無関心は、民主主義の国では「それでいいよ」の意思表示と同義となるので、行政は公債依存の予算を組み続けてきた。自治体が借金まみれになったのは、住民がそれを望んだ、或いは否定しなかったからだ。


 そしてもうひとつ、日本人が忘れてはいけない現実がある。

 平成18年度予算における、この国の公債依存度は37.6%


参照
みずほリポート「地方債制度改革における論点」 みずほ総合研究所

↓面白かったらクリックしてね♪
http://blog.with2.net/link.php?268283

|

« ささやかな抵抗 学校編 | トップページ | 宗教について考える »

コメント

そうなんですよね、日本の公債依存度は、世界一じゃなかったかな?つまり借金世界一なのね。映画「日本沈没」は違う意味で沈没なのね。

投稿: @秋虎【介護家族】 | 2006.08.17 12:41

@秋虎【介護家族】さん>
そうなんですよ。日本の財政赤字はドルベースで9兆ドルの、世界最大の赤字国家です。ブッシュ政権が率いるアメリカ政府が8兆ドルで、アメリカは猛烈な勢いで日本を追い上げており、近い将来、アメリカの財政赤字が日本のそれを追い越すだろうと思われます。
参照記事:http://research.stlouisfed.org/publications/review/06/07/Kotlikoff.pdf
より。

投稿: mizzie | 2006.08.17 17:46

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/8531/11472241

この記事へのトラックバック一覧です: 明日は我が身 ~破綻した夕張市~:

« ささやかな抵抗 学校編 | トップページ | 宗教について考える »