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2006.09.08

公立保育所民営化


 『官から民へ』

 『小さな政府』

 そう書かれた錦の御旗の下、公益性の高い政府機関・事業を次々と資本主義の競争社会に投げ出し、結果として外資(アメリカ)の私企業の利潤拡大に貢献している自民党政権だが、アメリカ私企業が参入し難い分野も、「経費節減」という大義名分の下で、「民営化」と言う名の責任放棄を進めている。

 法改正以前は、園ごとに国庫負担率が5割だった公立保育園の公費負担を打ち切り、自治体が自由裁量で使える予算を新たに設定し、自治体が抱える全ての保育所を、その予算でカバーさせるシステムに切り替えた。

 僕がこのブログで取り上げている位だから想像に難くないとは思うが、自治体が受け取る支援費総額はもちろん減少している。その予算を全ての公立保育所に、以前と同額支給する事は不可能なのだ。

 そうやって国庫からの支援を減額された自治体は、公立保育園を民営化させざるを得ない状況に追い込まれ、実際、全国でもかなりの公立保育園が民営化された。

 公的機関を民営化する事のメリットは何だろう?

 運営者(国)側のメリットは財政負担軽減だ。
 その機関を運営する財政的な余裕が無い場合は、とにかく民営化してでもサービスを維持しないといけない。財政負担となっていたその部門を民間企業(営利も非営利もある)に譲渡する事で、それについてのコストから開放される。(財政負担がゼロだった郵政事業が民営化されたのは、アメリカ保険業界の圧力があったからであって、日本国民の為でも経費削減の為でもない。)

 利用者側のメリットは、サービスの質向上が期待出来る。
 倒産の無い親方日の丸だからこその、傲慢・放漫・怠業・無責任、その他諸々のお役人体質。
 競争を前提にした市場経済システムにさらされる事で、そのお役人体質では経営を維持する事が出来ない業界は無数にある。

 では、デメリットは一体何だろう?

 運営者(国)側のデメリットは、僕にはちょっと思い浮かばない。
 基本的にあいつらは、自分達にとって民営化にデメリットのある機関は、絶対に民営化しない。警察と軍隊(自衛隊)がその最たるものだ。

 利用者側のデメリットは沢山ある。
 まず、公益性の高い分野を民営化されると、利益の出ないそれは簡単に切り捨てられる。民営化された郵便局が、過疎地域の1000局を無集配局にしたのはまだ記憶に新しい。
 儲からない分野のサービスは、基本的に廃止されるか質が低下する。
 大体、もうからないから公的機関がやるのだ。それを民営化すれば、その分野は廃止されるかサービスの質が低下するのは当然だ。

 さらに、安全面での不安もある。
 儲けを考えていたら、この安全基準はクリア出来ない。そんな分野は公的機関以外にしか出来ない。民営化されJRとなった国鉄が、安全性よりも利益を優先させた結果としての尼崎での悲劇がそれを証明している。


 まあ、ざっとこんなもんだ。

 公立保育所が民営化され始めて数年が経つが、民営化された保育所では、この負の面がかなり出ているようで、熟練の正規職員を経験の浅いパートやアルバイト職員と入れ替えた(経費削減の為)結果、園児が怪我をするケースが劇的と言ってもいいくらい増えたらしい。
 保母・保父の仕事も、経験が仕事の質を向上させるのに重要なパートを占める職種らしく、経験の浅い非正規雇用職員には、園児の体調管理や行動予測が稚拙過ぎる。と言う点があるらしい。

 また、公立から私立に変わる事で、職員の入れ替えだけでなく様々な事が変化する事になり、保護者の側にも不安が広がったんだそうだ。

 最も、この保育所民営化に関しては負の面だけで無く、良い面もそれなりにあった様で、民営化する事により、より弾力的な運用が可能となり、延長保育の充実で、共働き家庭やシングルマザー/ファーザーにとっては、それなりに嬉しい変化ともなった。また、ここまでにあちこちの自治体が様々な失敗を重ねる事で、そうやって蓄積されたノウハウを集積する事で、保育所民営化についてのマニュアルのようなものも出来たらしく、当事者には痛みを伴う結果となったが、全体としては良い方向に進みつつあるのかもしれない。

 これで、しっかりとした熟練職員の確保と育成のプログラムが出来上がれば、そして法体系を確立させれば、かなりの保育所が民営化可能となるだろう。

 保育所民営化は、「官から民へ」が上手くいった例の一つになるかもしれない。しかしながら、そこに辿り着くまでに、それなりの負担を押し付けられたり被害を被った園児・保護者がいたのは事実だし、慎重に事を進めようとした自治体や職員がいたから何とか形になりつつあるだけで、放っておいたら(実際、動いたのは自治体で、国はこの件に関しては、ほったらかしだった)現場の保育所や職員、園児と保護者だけが被害を被っただけでお終いになる危険性もあった。

 それ以前に、少子化対策だ何だと言っておきながら、育児・教育関連予算を削った政府のやり方はもっと批判されてしかるべきなのだが、この問題は
NHKが取り上げただけで、他の民放は全て黙殺している。

 お役人が、自分達のコスト低減になる政策を打ち出して来た時は注意しなければならない。
 殆ど全てにおいて、一般庶民がそのコスト低減で不利益を被る事になる。


役人のする事には監視が必要だ。だから僕は選挙には必ず行く。
そして、利益至上の民放TV局は信用しない。
 そんな僕は間違ってない。って思う人はクリックしてね。
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