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2006.12.31

Don't stop thinking!!

改正教育基本法は、自民党と公明党の賛成多数によって可決された。

これからの日本の子供達には愛国心教育が課せられ、国家はますます教育に介入して行く。
そう遠くない未来、日本もアメリカの様にスポーツ大会や様々な、多くの人が集まる場所で、最初に国旗掲揚と国歌斉唱が行われて、国歌が流れている間は観客は全員が帽子を脱いで起立している光景が、ごく普通に見られるようになるだろう。

そして格差社会が受け入れられた日本は、今後もどんどんアメリカの様になってゆく。
結果平等の社会が停滞するのは旧ソ連が証明してくれたが、アメリカのような格差社会になる事を、一般の日本国民は本当に望んでいるのだろうか?

スタートラインを同じにする事無く、ハンディを放置したまま競争させ、負けた者に手を差し伸べない社会。

それが今、この国が向かおうとしている格差社会だ。

格差社会で貧乏な家庭に生まれた、受験学力のない子供達はどうなるのか?僕はその典型例をいくつもアメリカで見てきた。
小・中・高と公立校であれば殆どコストの掛からないアメリカ。しかし、大学に進むにはそれなりのコスト負担を必要とする。医学などの高度な専門教育ならなおさらだ。貧困線すれすれの収入しかない貧困家庭(彼等のほぼ全てが有色人種だ)や、最低賃金で働く移民一世達にとって、そのコスト負担はとても重い。

そしてそんな人達の為に、軍事国家のアメリカには軍による奨学金制度がある。卒業後、一定期間軍隊で働く事を条件に、学費の全額を軍が負担してくれるシステムだ。

高等専門教育はおろか、仕事にすらありつけないような格差社会の敗者達は兵卒として軍隊に入る。
アメリカでは競争社会で置き去りにされた者達の受け皿として、『軍隊』がある。徴兵制を廃止したアメリカは、兵士の定員を満たす為にも、一定数の”敗者”を必要としているのだ。だからあの国は、貧乏な健常者が多数誕生する格差社会を是正しようとは決してしない。彼等は優秀な兵士になり得るから。

格差社会は自然発生的には生まれない。

”格差”は、国家によって作り出されるものだ。

37年前に作られたプロテストソングに、「自衛隊に入ろう」と言う曲がある。この歌は37年後の今こそ、歌い継がれるべきだ。

 

みなさんこの中に
自衛隊に入りたい人はいませんか
ひと旗あげたい人はいませんか
自衛隊じゃ 人材もとめてます

(中略)
自衛隊に入れば この世は天国
男の中の男はみんな
自衛隊に入って花と散る

『自衛隊に入ろう』 作詞;高田 渡

 

どんなに優秀なハイテク装備も、強力な軍艦も、をれを運用する兵士がいないと何の役にも立たない。軍隊には大量の下級兵士が必要なのだ。

格差社会は確かに、「這い上がりたい!」「幸せになりたい!」と言った種類のエネルギーを生み出し、社会の活力の源となる側面も持つ。
しかし、
『格差社会』を作り出す側は、社会の活性化なんてこれっぽっちも望んではいない。彼等が本心から欲しているのは、その人生のどこかで深い挫折感・敗北感を味わった大量の”敗者”だ。
志願兵制度を取る国が兵士の定員を充足させようと思ったら、「食うに困った貧困層」は必要不可欠なのだ。

 

 

203×年。

『自分の頭で考えること』を止めた日本国民は、毎日毎日TVでワイドショーやバラエティーを見ている。
数年前に可決・成立した『有害情報規正法』により、ニュースも天気予報以外の真実を伝えなくなった。
そんなある日、日本語理解力ゼロでも判る様な単純明快なコントでゲラゲラ笑っていた国民達は、画面下に表示されたテロップで、自分達の国が領土問題で険悪な関係に陥っていた隣国に宣戦布告した事を知る。

核兵器を保有するその国は、緊張状態になってから、ずっと標的を日本の各都市に固定した常時配備されている弾道ミサイルの、弾頭を通常弾頭から核弾頭に換装する。

憲法改正によって”侵攻部隊”として改編された、戦略自衛軍の強襲揚陸艦が領有権を争っていた島に一個連隊を上陸させたその頃、日本の各都市に向けて核ミサイルが発射される。

そして、PAC3が撃ち漏らした数発が着弾し、第三、第四の被爆都市が日本に誕生する。

誰かにとっての優しい母親が、熱核兵器で焼けただれた皮膚を指先にぶら下げて廃墟と化した街を彷徨い、誰かにとっての愛しい娘は、熱戦で内蔵を蒸発させる。
爆心地直下にいた人々は、プルトニウム弾頭から放たれた強烈なγ線で、頑丈な鉄筋コンクリートのビル内で生きたまま焼き殺され、
熱風で倒れた家屋に足を挟まれ動けなくなった父親は、火が迫る中で子供達に叫ぶ。
「父さんはいから逃げろ!」
しかし、子供達には尊敬する父親を見捨てて逃げる事など出来ず、目の前でその父親が焼け死んでいく様子の一部始終を目撃する事になる。

戦場では、熾烈で残酷な白兵戦が展開される。
自衛軍の兵士に、人殺しがしたくて入隊した者など一人もいない。
皆、初任給の月給18万と、家族の医療費無料という特典が喉から手が出るほど欲しかった、貧乏家庭の子供達だ。
しかし、戦場ではそんな事は関係無い。
『個人の思想・信条』など、敵兵は誰も気に掛けてなんかくれない。
敵兵だって、食うに困った貧乏家庭の子息達なのだ。

そこにあるのはただ、
「殺さなければ、殺される」
と言う、残酷な論理だけだ。

突き刺せ!
目の前にいる敵兵の脇腹を、お前の手にした銃剣で。
刺したら先をねじって内蔵をえぐるんだ。
そうしないと、自分が内蔵をえぐられる。
生き残る為には、相手を殺さなければならない。
それも、なるべくたくさん殺さなければならない。
それは戦争では、”やらなければならないこと”なんだ。
そうしないと、自分が殺される。

 

目を閉じちゃいけない。
目を閉じていても、物事はちっとも良くならない。
それどころか、次に目を開けた時には物事はもっと悪くなっている。
私達はそんな世界に住んでいるんだよ。
目を閉じるのは弱虫のやる事だ。
現実から目をそらすのは卑怯者のやる事だ。
君が目を閉じ、耳を塞いでいる間にも、
時は刻まれているんだ。コツコツコツと。

(村上春樹著 『海辺のカフカ』より)

 

僕はもう、この国がこれ以上良くなることなんて有り得ないだろうと思っている。
ただ、もうこれ以上悪くなっては欲しくない。
1970~90年代と言う、恐らくこの国の歴史で最も幸福だった時代を生きた者の一人として、この幸せを次の世代にキチンと引継ぎたいと思う。

だから、目を閉じてはいけない。

考える事を止めてはいけない。

 

 

今年最後だから久し振りに、mizzie節を発揮させてみた。
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コメント

やばい・・・こんな野蛮でどうしようもない世の中に2人も送り込むことになってしまったよ・・・と、泣きそうになってしまいました。息子よ、娘よ、こんな世の中にしてすまん・・・。

投稿: hana | 2006.12.31 09:54

うーん、この国は、これ以上よくなりませんか……
それでも一縷の望みを託してしまう……って、誰に??
安倍総理でないことだけは、確かです。

投稿: ゆらら | 2006.12.31 19:54

hanaさん>
こんな時代ですけど、僕も一目置いちゃうcritical thinkerでもあるhanaさんを母として生まれてきた二人には、きっと生まれてきた意味があるハズです。
そして僕等の世代は、彼らにこの幸せをキチンと引き継ぐ義務がある。そう考えるオイラです。
僕はまだ諦めていませんよ。

ゆららさん>
絶望の底に希望を見ているオイラですけど、僕が希望を託しているのは強い力を持ったアートマンではなくて、市井の小さな一人一人。
小さなしずくも集まれば、山をも削る大河になる。
僕はまだ、諦めていませんよ。

投稿: mizzie | 2007.01.01 03:42

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