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2007.06.27

守旧派と開明派

僕は基本的に職場での人間関係にはディープにコミットする事が無いように心掛けているから、仕事以外では全くのノータッチだし、休憩時間なんかでも仕事以外の話題を他の職員と話す事が殆ど無い。

他の全ての職員からは一定の距離を置き、俯瞰的に彼等を観察し、得られる所はどんどん取り入れ、そうでないところは自分に移る事が無いようにと気を付けていた。こなす仕事に堕ちてしまった同僚を憐れむ事はあっても、既に職場内でそれなりの地位にいる彼等に意見などしようものなら、ただでさえ職場内のBlack sheepになってしまっている僕が、つまはじきののけ者にされて仕事がやり辛くなるのが明白なので、決してそれを口に出す事はせず、黙々と・淡々と、相手の心理面まで配慮した上で仕事に当たっていた。

そんな僕の職場だけど、尊敬している同僚も何人かいる。
優れた知識と技術を持ち、しかし決して介護者優先の仕事などせず、利用者満足を追求するその姿勢には一目置くどころか、僕が理想として自分の手本としているくらいだ。

前回アクシデントを出した次の夜勤で、僕は久しぶりにその方と組んで夜勤をする事になった。僕等二人と一緒に夜勤をする事になった看護師も、最近入ってきた新人さんで、その仕事振りは極めて真面目で熱心。この人にも僕は一目も二目も置いている。

で、この新人看護師さんと凄腕介護福祉士さんは結構仲良し。

夜勤時の休憩時間中、二人で仕事について話し合っていた。

話題は、ウチに来て以来軽い欝気味の症状を来たしていて、問題行動が頻発しているとある利用者さんについて。

「今日は○×さんナースコール鳴らしてこないわね。」

「ああ、○×さんはさっきmizzie君が最初にコール鳴った時に飛んでいってくれて、自分でオムツ外して着衣とか汚染させちゃったの交換してくれて、それからはおとなしく寝てくれてるわ。」

「○×さんも判ってるのよねきっと。」

「どういう事ですかそれ?」

「あの人、コール連打する時って大抵同じ人が夜勤の時なの。無言の抵抗してるのよきっと。」

「そうよ。○×さんに対する@жさんの態度なんて、完全に○×さんを見下してるとしか思えないじゃない。普通だったら利用者に対してあんな物言い出来ないわよ。」

「確かに、こっちはお世話をさせてもらってる訳なのに、どうしてそんな高飛車な偉そうな態度取れるのか、疑問とか通り越して憤り覚えちゃう事は僕にだってありますよ。」

「だけどあの人達はもう何十年もあんな態度で患者達に接してきた訳でしょ?もう変われないわね。ずっとあのままよきっと。介護に関して言えば、ここははっきり言って最低よ。mizzieくんもここのやり方に染まったりしちゃダメよ。」

「そうね。アタシ達の給料は利用者さん達が払う介護保険から出てる、つまり利用者さん達はお金を払ってアタシ達にお世話させてるのよ。だけどあの人達のアタマは「お世話してあげてるんだから!」でしょ?利用者の尊厳なんかどっかにすっ飛んでて、自分達の都合で介護してるんだもの。ダメよここはもう。それで家族が文句言って来ても「イヤなら出て行ってもかまいませんよ」って態度でしょ?家では看られないから仕方なくこっちに預けてるのに、そうやって言われたら家族は黙るしかないじゃない。こんなのでよく、機能評価認定受けてられるわね。信じられないわ。」

 

そうなのだ。
介護保険制度が出来るはるか昔から、看護師や看護助手としてやってきた古いタイプのおばちゃん職員達は、「あたし達は、自分じゃ何も出来なくなったアンタ達のお世話をしてあげてるの。」と言った姿勢で、尊厳もへったくれもない態度で看護・介護を行う。
キャリアだけは長いので、知識と技術は高いものを持っているが、それだけだ。クライアントの心理面までフォローした看護・介護とは遥か遠い地平に位置している。彼女達はキャリアが長い分職場内での地位も高いので、我が職場では殆どの職員がそういったベテランおばちゃん達に従って仕事をしている。
看護者・介護者中心主義で仕事をすすめれば、当然仕事はラクチンなので、その仕事の進め方や利用者に対する態度まで同じやり方で仕事をしている若手職員も結構いる。

そんな中、僕が尊敬しているその介護福祉士さんは、その高い知識と技術で良質の介護を提供しながら孤軍奮闘を重ね、職場内で一定の発言力を持つまでになったが、まだ職場内のパワーバランスではおばちゃん職員連合軍には及ばない。
そんな彼女も
介護での実務年数が5年目に達したので、来年のケアマネ試験を受けるべく試験勉強を始めているらしく、ケアマネ試験に受かったらここはすぐに辞めると言っていた。
良質の介護を提供する職員が、燃え尽きて辞めていったり生活の為に転職していくのを何人も見てきた僕だけど、残って欲しい人に限って、介護の現場から去っていく。
高い技術と知識を持ち、しかも利用者の心理面までがっちりフォローするこの方からは、実に多くの事を学んだ僕だけど、他の職員からは「新入りのクセに(彼女は昨年末に転職してきた)」って見られているようで、一部の職員からは妬まれてもいる。

逆に、良質の介護を提供する彼女を尊敬し、それに習おうと彼女の側に立つ若手職員も数名いる。もちろん僕もその一人だ。歳は若くは無いんだけど。

 

介護業界には、介護者中心主義で「お世話してあげてるのよ」と言う守旧派と、利用者満足を追求しながら自立支援を理想に掲げて「あたし達はお世話させてもらっている。」と言う開明派がいる。

 

 

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