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2007.08.28

何のキャンペーンだ!?

・・・って事で、mizzieくん、25日~27日と○☆さんの代わりに夜勤入ってもらえるかしら?」

「いいですよ。その日は特に予定も無いし。(しめしめ、これで夜勤手当一日分イタダキ♪)一緒に組む事になるの誰です?」

「ワーカーは@ξさんよ。mizzieくんと組むの初めてだけど、新入りなんだからアンタがリーダーで引っ張っていかなきゃダメよ。」

「ナースは?」

「ナースは・・・えっと、あ、▼◎さんね。」

(うぉ!イージスさんじゃねえか!!)
その名前を聞いた瞬間にオイラは思った。過去記事でも触れた事のある他人に妥協の無いベテラン職員、口は立つけど腕も立つ。介護病棟最強の攻撃力を誇る、歩く『重箱隅突付き用マチ針』なその人と一緒に、新人を従えて夜勤をする事になったのだ。

イージスさんと僕は、他の職員が「mizzieはイージスさんに狙われてるよね。」って言われてるくらいで、「アンタはそんなトコまでケチつけるのかよ!?」って位の集中攻撃を受けている。ただ僕も「売られたケンカは高値で買います」って性格なので、ケチ付けられたりイジメすれすれの攻撃に腐ったり投げ出したりする事無く、むしろそれを真正面から受け止めて、(ちっくしょー!いつか絶対に、ケチの付け所も無いような仕事して見返してやるっ!!)って、臥薪嘗胆で黙々と仕事に励んできたし、そうやって仕事に対するエネルギーを沸かせるこの人を、その仕事師ぶりと共に、僕は一目置いてもいる。

実際の話、比較的仲の良い職員だけの日に、和気あいあいと仕事をしている時よりも、イージスさんと一緒に仕事をする日では、仕事への緊張感とかがかなり違っているのは事実だ。この人と仕事をする時のオイラは、ぴんっっと張り詰めた空気の中で仕事をしているのだ。イヤミなトコもあって一見イヤなおばちゃんだけど、僕は組織にはイージスさんみたいな人が必要だと思っている。

必要と思ってはいるんだけど、16時間も一緒に仕事をする事になる夜勤でイージスさんと一緒と言うのは、精神的にとても疲れるのであまり嬉しくない。嬉しくないんだけど勤務割り当てで決まったら受け入れるし、この時もケガで夜勤に入れない職員のリプレイスメント(代役)としてだったので、いつもの夜勤よりも少しだけ気合を入れて、僕は職場へと乗り込んだ。

イージスさんと仕事をする時は、つけ入る隙を与えない事が肝要だ。もちろんこの日も定時90分前に出勤し、事前に片付けられる仕事は全て片付ける。僕と組むのが初めての新人さんも、仕事には真面目に取り組む方なので定時45分前には出勤し、僕が片付けられなかった残りを片付けてくれる。その甲斐あって夕食までは順調どころか時間に余裕が出来て、普段は忙しくて手が付けられない所を片付けたりしていたくらいだ。
夕食後の排泄介助とオムツ交換も比較的順調に進み、しかし最近入院してきた、ADLが高くて不穏行動のある方にてこずってしまってそれまでのアドヴァンテージを全て吐き出してしまい、ほぼいつも通りのペースで淡々と排泄介助をこなしていたその時イージスさんが現れて、

「この部屋はどこまで済んでるの?」

と言いながら手伝いに来てくれた。イージスさんは普段、ワーカー業務にはワーカーから要請された時以外は入らない事で知られている。そのイージスさんがワーカー業務に自分から進んでヘルプに入ってくれたお陰で、何とかいつも通りの時間で排泄介助を終えられた。

「mizzieさんmizzieさん、イージスさんって夜勤では排泄介助の手伝いはしてくれない。って×★さんとかから聞いてたんですけど、今日はこっちの手伝いに入ってくれましたね。」

「そだね。ってか、今日のイージスさん、出勤してきた時点から優しいんだけど。」

「そうなんですか?」

「いつもだったら、申し送りの段階からチクチクと重箱の隅突付いてくるもん。でも今日はそんなの一切無しだし、さっきだって申し訳なさげに嘔吐しちゃった£$さんの病衣の着替え頼みに来てたし、普段だったら「それ済んだら£$さん嘔吐してるから着替えさせといて。」ってブッキラボーに言っておしまいなのにさ。」

「何かあったんですか?」

「わかんない。”ワーカーに優しくしましょうキャンペーン”でもやってんじゃないの?」

何て言いながら、お互いの受け持った仕事に戻る。

準夜帯の仕事を順調に終えて、22時から休憩。イージスさん、新人さん、僕の3人が、詰め所裏でテレビ見ながら談笑。

23時の排泄介助と体位変換を終えてから、新人さんが仮眠に入り、早めに出勤して業務を終わらせていた僕はやる事が無いので兵站的な業務をする。消耗品である物品をすぐに使えるように加工してストックする。それらを淡々とこなしていく僕の前で、イージスさんはカルテを書いている。僕はイージスさんが25時の巡視に行ってしまっている間に詰所のシンク掃除とゴミ出しを終えていたのでそれを報告してから、ワーカー担当フロア(医療必要度の低い人達のフロア)の巡視に行き、異常の無い事を報告してから仮眠に入った。
この日の夜勤ではここまで、いつもだったらハープーン(対艦ミサイル)を5、6発は打ち込まれてるんじゃないか?って位の小ミスが幾つかあったんだけど、それらについて責められる事は皆無。「気を付けなさいよ。」って一回言われただけ。

おいおい、今日はやたらとゴキゲンだぞイージスさん。逆に怖くなってくるじゃないか。

仮眠終了後は、3時の排泄介助と体位変換。オイラは少し早めに仮眠室から出て、先に仮眠に入っていた新人さんと合流して仕事を片付けていく。
我が職場では夜勤中の仮眠の入り方が、ワーカーAが24時から26時まで仮眠。ワーカーBが25時から27時まで仮眠。ナースが26時から28時まで仮眠。となっている。がしかし、イージスさんは仮眠を取らない事で知られている。本人曰く、寝ちゃうと集中が切れてしまうらしく、16時に出勤してきたらそのまま翌朝9時までぶっ通しで働いていくのだ。
この日も、27時半には仮眠室から出てきて記録をつけたり朝の薬を準備したりしている。こっちは新人さんと二人で深夜の排泄介助と体位変換。それもほぼ終盤に入った時、

「○×さん、お体の向き変えますよ。よいしょっと。」

パーキンソン病が高度に進み、左上肢以外の自力での体動が出来なくなった○×さんのオムツを交換し、仙骨部にじょく痩が出来ている○×さんの体を、右側臥位から左側臥位に変換させる。とその時、鼻柱に貼っていた栄養チューブを固定するテープがはがれかけていたのと、栄養チューブの先端がベッド柵に引っかかっていたのにに気付かず、一気に体の向きを変えたのでチューブがずるずるっと抜け出てしまった!!

栄養チューブ挿入は医療行為なので、ワーカーが抜けてしまったチューブを入れ直す事は出来ない。出来ないどころか鼻腔から気道に誤挿入する事無く、きちんと食道にチューブを挿入して胃まで管を通してきちんと胃に入っているか確認するなんて、僕にはとてもじゃないが出来ない。
栄養チューブ挿入は一歩間違えると患者を殺してしまう事になるので、ナースだって神経を使う作業で、栄養チューブが抜けちゃう。と言うのは、ナースが最もやって欲しくない事の一つだ。

で、オイラは恐る恐る、栄養チューブを必ず自己抜去しちゃう患者さんに付きっきりで栄養注入をやっていたイージスさんの所に行き、事の次第を詳細に報告した。その僕にイージスさんは2、3の事を確認して、

「これ終わったら○×さんのチューブ挿し直しときますから、以後、体位変換時は気をつけなさい。じゃ、mizzieくん自分の作業に戻って。」

とだけ言って、自分の作業に戻った。僕も言われたまま自分の作業に戻り、残った4人の排泄介助と体位変換を終えると、イージスさんは既に○×さんのチューブ再挿入を終えて、朝の内服薬注入準備に入っていた。ナースとしてのキャリアが30年を軽く超えているイージスさんは確かに、口も立つけど腕も立つ。深夜帯の仕事を全て終えて、朝の業務に入るまでは突発事態が無い限りは小休止が出来る時間でもあるので、詰所裏の休憩室で寛ぐんだけど、そこではもうすぐ結婚するオイラに自身の経験を踏まえた上での様々な助言なども賜り、笑顔すら見える始末。

おいおい、本当に一体何のキャンペーンなんだ今日は?

その後の業務も全て順調に片付き、普段だったらバタバタしてる時間帯に休憩が出来ちゃうくらいで、全てが順調に進み、久しぶりに定刻ぴったりで勤務を終える事が出来た。詰所裏で帰る支度をして、更衣室に向かう新人さんを見送り、

「今日は本当に有難うございました。9月は2回、イージスさんと一緒に夜勤する日がありますけど、その時も宜しくお願いしますね。」

と、自分のバッグに荷物を詰込んで、今まさに帰ろうとしていたイージスさんに言うと、

「あらそうなの?じゃ、ヘマしないようにちゃんと仕事してね。じゃお疲れさん。」

笑顔で言って、休憩室を出て行った。

おいおいおい、ホントに今日は一体、何のキャンペーンだったんだ!?

 

 

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コメント

(^ー^* )フフ♪
イージスさん、何かいいことがあったのかもしれませんね。
いつも手厳しい方が穏やかだと、拍子抜けしちゃいますねー。
mizzieさんは、却って緊張感が増したかしら??
これからも、お手柔らかにお願いしたいものですねっ。

投稿: ゆらら | 2007.08.28 21:30

ゆららさん>
よくわかんないんですけど、最近、職場で僕に風当たりの強かった人が皆、好意的になってるんですよね。それはとてもいい事なんでしょうけれど、そうなった理由がこっちにわかんないだけにちょっと怖くもあります。(^^)

投稿: mizzie | 2007.08.30 21:18

もしかしてもしかして、ななかさん効果かも!?
HAPPYなヒトには、HAPPYが寄ってくるんですよね。
職場の皆さんも、mizzieさんの幸せな話を聞かれて、
「mizzieさんを温かく見守ろう」
って気持ちになられたのかも!!

投稿: ゆらら | 2007.08.31 14:21

ゆららさん>
事の真相は不明なんですけど、今では殆どの人が僕に対して好意的になってます♪
そしてそれは、とてもとてもイイコトです。
(^^)

投稿: mizzie | 2007.09.01 01:21

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