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2007.09.01

マイナスQOL

今、僕は療養型医療介護施設で、介護職者として・ケアワーカーとして働いている。

ケアワーカーの・介護職者の業務と言うものは、加齢によって生じる様々な疾病や身体機能低下等が原因で、自立した日常生活を送る事が著しく困難になってしまった高齢者達の、食事や更衣や移動や保清や排泄の介助を行いながら、衰えた身体機能の回復や向上、代替機能の獲得を援助し、これ以上の機能低下を防いだり進行を遅らせたりしながら、生活の質の向上に努める事で、介護職者の目指すものは、介護保険制度の理想は、被介護者のQOL(生活の質)を高め、満足度の高い暮らしを送ってもらうことのはずだ。

しかしながら、医療介護施設や療養病床で人生の最終幕を演じる事になった高齢者達には、『QOL』なんてあって無いに等しい。これは今だに僕が心を痛め、疑問を感じ続けている事なんだけど、人として生きていく為の様々な身体機能、その自発呼吸機能以外のほぼ全てを喪失させてしまい、チューブにつながれて生きている高齢者達が、僕の職場には沢山いる。

要介護度なんかもちろん最高の”5”で、自力で出来る事なんか呼吸以外は何にも無い。食事はチューブを介して流動食を胃、あるいは腸に直接流し込まれ、排泄は24時間オムツ。更衣、保清は全介助で入浴は機械浴。自力での体動が無い為、2時間毎に僕等が施す体位変換が無ければ、あっという間にステージⅣのじょく創が仙骨部をはじめ、あちこちに出来てしまうだろう。

そう言った、いわゆる”寝たきり”になってしまった高齢者達だけど、様々な身体機能を緩やかに喪失してゆく過程にあるんだけれど、何かの拍子に「アリガト」とか言ってくれる方もいたりもして、それが可愛らしく思える時もあるんだけれど、発語機能も失い、呼吸以外に自力で出来る事が何も無くなってしまった人達と接していると、(この人達は、本当にこうやって生かされる事を望んでいるのだろうか?)って、ときどき本当に辛くなる。

 

僕ももうすぐ勤続3年目に突入するんだけど、勤め始めの頃に新たに入院してきて、少しずつ、でも確実に・緩やかに様々な身体機能を低下させていって、まずリハビリが出来なくなって、次に食事の経口摂取が出来なくなって、って感じにすこしずつゆっくりと悪くなって行って、主治医から「もういつ容態急変があってもおかしくないですから(つまり、いつ死んでもおかしくない)」って言われるまで体調が悪化して、排泄も尿道口に留置されたカテーテルを介して行われるようになって、さらに消化器官からの栄養摂取が出来ない所まで体調が悪化した人がいる。夜勤の度にいつも、いつこの方が容態急変を起こすのかとドキドキだ。

消化器を介しての栄養摂取が不可になったこの方だけど、ご家族と医師による今後の治療方針として、中心静脈栄養法によって、高カロリー輸液を使って静脈に直接栄養を送り込む事になった。

呼吸機能も酸素吸入無しだと、動脈血の酸素飽和濃度が危険なレベルまであっという間に低下してしまうこの方は、自発呼吸以外の全ての身体機能を喪失し、24時間体制の医療的観察・処置無しには生命維持が出来ない所まできてしまったんだけど、高度に進化したこの国の医学は、ICUなどに頼らなくても、このレベルまで生命維持機能が低下した人でもまだ生かせ続ける事が出来る。

でも、

残酷だけどそれは、死期が少しだけ延びただけで、この方がその失った機能を取り戻したり、代替機能を獲得したりする事はもう無い。

もしこの方のQOLを数値化する事が出来たとしたら、それはゼロどころかマイナスだ。

 

 

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