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2008.07.12

理想と現実

少し前の話になるんだけれど、高知新聞で若い女性介護福祉士が取り上げられていた。

新卒者対象のキャリアプランに関する特集ページで、若者の職業として高齢者介護が取り上げられていたんだけれど、そこには、特養で働く20代前半の女性介護福祉士が取り上げられていて、インタビューで彼女は、”介護”と言う仕事のやりがいとかについて熱く語っていた。

(あーあー、また無知な若者を被搾取業界に誘い込んでるよ・・・)
って思いながら読んでいたその特集ページに、高知県にある福祉専門学校が広告を出していたのは言うまでも無いのだが。

介護現場の悲惨な現状がかなりバレてきて、生徒の集まりが極端に悪くなって定員割れだらけの福祉専門学校だけど、広告で「介護はやりがいのある仕事です!」とか、「自分が誰かの役に立つ・必要とされているのは嬉しいです!」何て言って、奴等は人のいい若者達をたらし込んであぶく銭を稼いでいる。

僕も最初はそうだったから偉そうな事は言えないんだけれど、「人の役に立ちたい!」とか、「困っている人を助けたい!」とか、「誰かに必要とされたい」なんて動機でこの高齢者福祉の世界に来ると、その過酷で悲惨な現実に、完膚無きまでに打ちのめされる事になる。
本当に行き届いたサービスを提供しようと思ったら、高齢者介護なんてマンツーマンでも足りないのに、現実は60人の入居者に介護士はたった15人だ。夜勤時なんか60人を3人で看るのだ。満足のいくサービスなんか提供出来るはずが無い。
そりゃ、利用者の平均要介護度とか自律度の高い、在宅介護とか老腱とかデイとかならまだましだろうけれど、重介護な人ばかりになった特養とか、僕が所属している医療介護施設とかだと、その悲惨な現実は、介護者を壊してしまうか、心を閉ざさせるかを強いる事になる。

僕の職場を例にすると、入所している人の約3割は、こちらからの介護を明らかに拒否しているとしか思えない反応しかしないのだ。
『自分が、誰かから必要とされているのが好き』
なんて思ってたとしたら、それは相当に心を痛めつける事だろう。でもそれが現実だ。
集中的・継続的な医療処置が無ければ生命維持すら怪しい。ってトコまでADLが低下した要介護高齢者に対し、僕等は『生命維持』にフォーカスした介護を施す。認知症が高度に進行し、情動だけでなく運動機能にまで障害を来した100歳近い高齢者にとって、こちらがどんなに丁寧に声掛けをしても、非言語的なコミュニケーションを尽くしても、意志の疎通がほぼ不可能なのだ。

でも、その処置を行わないと、生命維持が困難になる事は見えている。だから僕等は、本人意思による了解の確認無しで、生命維持にフォーカスされた介護を行う。それに対する相手の反応は、強い拒否動作や悲痛な叫び声だ。

これが毎日繰り返されていく医療介護の現場は、従事者の心を激しく切り裂く。

誰かの役に立ちたくて、誰かに必要とされたくて、その感覚や充実感・達成感を味わいたくて、介護の世界に飛び込んだのに、

医療介護の現場では、要介護高齢者の中の何人かにとって、介護士は明らかに不要で恐怖と苦痛を与える不快配達人だ。

 

僕等は、そんな人になりたくてこの世界に入ったんじゃあない。

でも、厚生労働省と、国民の支持を得た自民党・公明党が用意したのはこんな悲惨な現場だ。夜勤時は60人を3人で看る僕等だが、仮にこれを4人でやるとしたら、今の介護報酬体系では、施設経営が成り立たないのだ。

確かに、介護には時々、ビリビリくるくらいにやりがいとか達成感・充実感を感じられる瞬間がある。しかし、もしあなたが”稼ぎたい”と言う動機でキャリアプランニングをするのならば、”介護”は最初から選択肢から外しておかなければならないだろう。

肉体的に過酷で、インセンティブがマイナスで、実はとんでもなく危険で、そして勤務中のかなりの時間で、心を傷めながら働く事を強いられる。

 

それが、この国の高齢者介護の現実だ。

 

 

 

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