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2008.10.18

(やはり)僕は間違っているのだろうか?

夜勤。

その日は新人さんと組んでの夜勤で、もうすぐ実務3年目突入のオイラは夜勤リーダー担当。いつものように定時90分前出勤で先に済ませてもOKな業務は全て終わらせているので、ルーティンワークにも余裕を持って取り掛かる。夕食の食事介助を終えると夜勤者は食事休憩となり、それを終えて遅出さんからナースコールを受け取り、定時のオムツ交換・排泄介助に取り掛かる。

それなりの経験を積んで、僕も言語でのコミュニケーションが確立できる利用者相手のそれには、何も問題無くこなせるようになった。じーちゃんばーちゃんとの会話を楽しみながら、笑顔が出る事だってある。

問題なのは、症状が進行・悪化して、意識があると言う事を除けば植物状態と殆ど大差が無い、”準植物状態”となってしまった利用者と関わる時だ。食事、排泄、更衣、保清、生活動作全介助。叫び声以外の発語能力を失い、排泄は24時間オムツ使用。食事も胃ろうor経鼻による流動食となってしまった彼等・彼女等への介護は、「本人意思の確認」が不可な為、「生命維持」にフォーカスされた介護が施される事となる。

そうなってしまった人達の何人かは、こちらからの介助に対する反応が拒否動作以外に無い。こちらからの介助を全力で拒否するのだ。しかし、オムツから大便があふれ出て、衣服もベッドもウンコとオシッコまみれになってしまった彼等・彼女等を、「本人が拒否しているから」、と言って放置する事なんか絶対に出来ない。こちらからの処置を全力で拒否・抵抗する相手を、介護士が排泄物にまみれながら無理やり押さえつけて、職員数人がかりでオムツを交換したり機械浴で洗ったりするのだ。

そんな事を繰り返しているとそういった高齢者達は、制服姿の僕等を見ただけで、怯えた表情になってベッド上で丸まったり、憎悪に満ちた顔でこちらを睨みつけたりする。

この日も、そんなばーちゃんの一人である、○×さんのオムツ交換に取り掛かったオイラは、「AAAGGGHHHH!!」って、日本語で書く事が難しい叫び声を上げながら、全力でこちらの介助を拒否する○×さんに処置を施す。一緒に夜勤をしていた新人さん(20代前半女性。美人♪)と一緒にオムツ交換を行う。僕が両腕と足を押さえている間に、新人さんにオムツを換えてもらう。
「AAAAAGHHHHHH!!」
「痛てててっ!!」
腕を抑える僕に、○×さんが渾身の力をこめて爪を立てる。痛みをこらえながら僕は、新人さんがオムツカバーを止めてパジャマを着せるのを待つ。
「パジャマ着たら終わりですから、力を抜いて下さい。」
「AGGGGHHHHHH!!」
こちらの声掛けには無反応で、全力で抵抗する○×さんを押さえつけて、僕等は強引にオムツを交換する。まるで負傷兵に麻酔無しで、大腿動脈接合手術をやる軍医だ。

オムツ交換を終えて、拘縮予防で各関節にクッションを挟む。その間も相手は叫び声を上げながら抵抗を続け、全ての処置を終えてベッドのギャッジ角度を調節する僕を、憎悪に満ちた目で睨みつける。

「○×さんに処置するの、いつも胸が痛むよ。」

ディスポの手袋を脱ぎながら呟く。僕のその言葉を聞いた新人さん、驚いたような声で、

「そんなので心痛めてたら仕事なんか出来ないですよ。○×さんは誰に対してだってその反応するじゃないですか。こっちが何を言っても通じないんだし、仕方無いですよ。」

「でもね、僕は誰かの役に立ちたくてこの仕事を選んだのに、ここにいる何人かにとって、僕等は不快と恐怖に配達人ですか無くってさ、僕等が関わる事を全力で拒否してるでしょ?僕はそんな事をしたくてこの仕事をしているんじゃないのに、現実に傷付かないでいる事の方が難しいよ。」

「でもそれでいちいち傷付いてたら、仕事が回んないですよ。」

「そうさ。だから僕は、出勤して制服に着替えて更衣室から出る時、自分の感情と感受性の回路をオフにしてる。それが出来なかったら多分、とうの昔に気が狂ってる。」

「そんなものですかね・・・。」

介護の経験も無く、無資格で我が職場にやってきたこの新人さんだが、彼女は僕が心を痛めている事に、何かを感じる事は全く無いようであった。無資格・未経験でやってきた彼女は、最初に数ヶ月こそ仕事に対する戸惑いもあったようだが、もうすぐ1年になろうかという最近はすっかり業務にも慣れ、ベテラン組と遜色も無いくらいに効率よく業務をこなしている。その反面、職場の雰囲気に完全に馴染んだ彼女は、僕が心を痛めている事柄にも何も感じる事無く、相手のどんな反応に対しても、動ずる事無く淡々と業務をこなしていく。

医療介護と言う職種はどうやら、そこに従事する者から感受性と言うものを奪ってしまう職業のようだ。

 

 

 

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