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2008.11.28

どう思う?

まだインターン待遇なんだけど、今週からはMSW業務にも関わらせてもらっている。

経済的に困っている患者さんの相談に乗ったり、転院調整をしたり、書類を作成したり送ったりといった事柄だ。

病棟のカンファレンスにも参加するし、そうやって患者さんに関する情報を仕入れて、面談時に役立てたりもする。

クライアントと面談をするにおいて、クライアントの情報を知っている事はとても有用。って言うか最低必要条件なので、上司のMSWさんからも、「時間がある時はカルテ見て患者さん情報を仕入れておくように。」って言われてもいるので、そして今はまだ出来る事が少ないので時間もあるので、そうやって空いた時間にカルテを見て情報を入手する。

僕はそれなりに英語力があって、そして前職が医療介護病棟勤務なので、カルテを見ても、医学的な事もある程度の事は理解出来るし判らなくても想像出来るから便利だ。ただ、英語で書かれたカルテを見てて、そこに担当医の手で書かれた英文を見て(・・・神経圧迫部位を、背骨の内側を削って対処?おぉ!そりゃあ痛そうだ・・・)なんて背筋を凍らせたりしている。

で、カルテには医療情報や看護経過記録の他に、個人情報に関する記述もあるんだけれど、それを見ていて、僕はちょっと考えさせられた。

 

僕が所属しているのは、急性期治療の脳外科病院だ。21世紀の脳外科ってやつはおっそろしく高度化されていて、10年前だったら間違いなく死んでるだろうな、って奴も治療して、あまつさえ2週間で自宅退院可能まで回復させちゃったりもする。しかし、それを可能にする高度医療って奴は、一台が数千万円はしちゃうような医療器を使った、1回の施術で数万円のコストが掛かるような物凄いものだ。

そんな高度治療、如何に保険適用で3割負担だとは言え、3日間で\190,000とか\150,000とかするような奴ばっかりで、ほぼ全ての入院患者が高額療養費制度(総所得600万円以上の人は15万円、600万円未満の人は80100円、市民税非課税世帯は35400円以上の医療費は保険でカバーされる制度。ただし保険適用医療費のみなので、差額ベッド代とかは含まれない)の適用となる。生活保護世帯でも、医療保険適用分は医療扶助で国が全額を負担してくれる。だから、全ての国民がそれらの高度医療を受けられるのだ。

ただ、この「保険適用医療は全ての国民が受ける権利のある医療だから」と言う建前は、時として僕にさえも「?」と思わせてしまう事がある。

僕が就職する前に、外来受診したら脳動脈瘤が見つかった患者さん。生活保護受給の独居高齢者だけど、医療扶助が適用になるので、放っておけば脳卒中になって死ぬか重度の要介護になってしまう。しかも瘤は破裂寸前。ってくらいに危険な状態だったので、すぐに手術となって、動脈瘤の部分にカテーテルを入れたか何か、とにかく結構難しい手術をして危険な状態を脱した。
入院直後から、かなり重点的・集中的にケア&キュアが施されたんだけど、生活保護受給者なので、その医療費は全額公費負担だ。

それはそれでいいんだけど・・・

この方、手術は無事成功して回復が順調なので、多分自宅退院可能レベルまで回復しそうなんだど、独居高齢者で退院後はちょっと不安だ。不安だから、家族に同居してもらえないのかな?って思って家族背景とかを見てみたらこの方、子供がいるんだけど離婚歴があって、子供は別れた相手が引き取っている。そして、元・配偶者も、その子供も、「もうかかわりたくないので連絡をしてこないでくれ」と言っている。
面接や、ケースワーカーさんからの情報提供で判った事をまとめるとこの患者さん、若いころからずっと、やりたい放題好き放題で生きてきた人らしく、そのあまりのいい加減さ自分勝手さだらしなさに、愛想を尽かした配偶者には逃げられ、しかし一向に態度を改める事も無く好き放題に生きてきて、生活保護受給者となった後も、働かなくても一定の収入は維持されるので自堕落さにますます拍車が掛かり、最終的にはケースワーカーさん以外は誰もこの方に関わる人が無くなって、そして自堕落な生活でメタボってコレステロールもたまりまくり、血圧上がりまくりで、脳動脈瘤破裂寸前になった所を奇跡的に発見されて、公費で高度治療を施され、入院生活で栄養状態も改善し、さらにまだ若かったので回復も早く、自宅退院可能なまでは回復しそうな勢いだ。

しかし、この方が回復したからと言って、その自堕落な生き方が改まるとはちょっと考え難い。恐らく、入院前の暮らしと同じ暮らしに戻って、生活保護で”生きるだけは可能”って状態が維持され続けていくんだと思う。

生活保護っていうシステムは、働きたくても働けなくなった人達に用意された最後のセーフティネットとして、社会にとって絶対必要なものである。だけど、こうして働けるのに働かない人が自堕落な暮らしを続けるために使われている実例を見てしまうと、持ち過ぎている者の富を資本が届かない所に再配分する事に異を唱える、御手洗富士夫みたいな守銭奴の主張に反対の拳を上げる、その勢いが弱まってしまうのを感じてしまう。

そうやって自堕落に生きてきて、そのせいで体を壊してしまった人を、世界最先端の医療技術と機器で、物凄いコストを掛けて癒して、でもそのコストを国民全体で負担するのに、どうしても疑問を感じてしまう自分がいる。

 

福祉の側に立つ人間として、その疑念はきっと間違っているんだとは思うんだけれど・・・、

生きたいと強く願う人を、経済的理由で助けられない日本の社会保障制度だけど、

それは好き放題自堕落に生きてきた人を、公費で助けてしまう制度でもある。

 

 

理事長は僕等に、「本当に必要な人に必要な医療が届けられなくなるから、」と言って、冷酷になる事も必要だとは言うんだけれど・・・。

 

 

 

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