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2009.07.04

ばあちゃん達の戦争

アメリカ合衆国の233回目の独立記念日である今日は、我が故郷、高知が米空軍から激しい空爆を受けて壊滅した、高知大空襲の64周忌でもある。

1945年7月4日。50~80機のB-29編隊が高知市を空襲。市中心部を焼け野が原に変え、高知市は罹災個数11912戸、罹災人口40737人、被害人員712名(内訳死亡401名、重傷95名、軽傷194名、不明22名)、被害建築11,912戸(内訳全焼壊11,804戸、半焼壊108戸)という被害を受けた。

狭い高知市上空であのバカデカイB‐29 が飛びまわったものだから、空中衝突を起こして墜落したものもあったが、地方都市にじゅうたん爆撃を加え、都市機能に壊滅的ダメージを与えた。



僕は高齢者福祉に関わっている関係上、戦争の話を聞く機会に、同世代よりも圧倒的に多く巡り合うのだが、高知で生まれ育ったおばあちゃん達(おじいちゃん達は何故か、戦争の話をしたがらない)にとってもこの高知大空襲の記憶は心に強く焼き付けられているようで、あれから64年が経ったというのに、彼女達の記憶は鮮明で、その時感じた事を僕に語ってくれたりもする。

400人以上の市民が生きたまま焼き殺された、燃え盛る街の中を逃げまどった記憶は、酷いトラウマになっていそうなのだが、そして、80歳代よりも上の世代にとっての高知大空襲と太平洋戦争の記憶は、恐怖と苦痛で彩られているのだが、70代前半のおばあちゃん達の戦争の記憶は、とてもカラフルだ。
彼女達は当時はまだ小さな子供だった。と言う事もあって、「食べる者が無くてね、とにかくいつもお腹を空かせていたよ。(彼女達は古い土佐弁を使うので、そういった土佐弁は標準語に直してあります)」と言って、耐乏生活について語るのだが、小さい子供だった彼女達は、年長の兄姉や家族から優遇されていたのだろうが、80代以降の方達よりも、その記憶に切実さは薄い。

1945年に入ると、高知市や飛行場のあった日章などは、何度も米軍機による空襲を受けているのだが、80歳代以降世代にとってのその記憶は、物凄い恐怖なのだが、~70代前半のおばあちゃん達の記憶でのそれは、ちょっとウキウキしたような、陽気さが混じっている。
「日章の飛行場攻撃に来た米軍機が撃ち落とされてね、あたしら、飛行機の色がキレイでね~大人の人に触ったらいかん!って言われよったけんど、そ~っと近寄って行ってね、破片を拾うて来よったぞね。」とか、「空襲で撃ち落とされたB29(実際は空中衝突だった)が空でバラバラになって落ちてきてねぇ、その中の一つがアタシめがけて落ちてくるがよ。もうどこへ逃げたらえいかわからんろう?ひゃあー!って思うてうずくまったら、それがアタシのすぐ側に落ちて来たがちや。」なんて事を、楽しそうに話してくれるのだ。

戦争のシリアスさとか、残酷さとか悲惨さとかを、実感するには余りにも若過ぎた(だってまだ小学1年か2年だ)彼女達にとって、燃えながら落ちてくる焼夷弾とか、キラキラ機体を輝かせる米軍機とか、花火みたいに火花を散らす高射砲とか爆弾とかも、ちょっと派手な花火みたいなものだったのかもしれない。国民に耐乏生活を強いた政府の事もあって、楽しみとか遊びといった要素を排除された生活を強いられていた、当時は幼い子供だった彼女達にとって、戦争も派手で危険な遊びのようなものだったのかもしれない。

当時、小学校低学年だったおばあちゃん達にとっての戦争は、それなりにカラフルだったりもするのだが、当時、高校生以上だったおばあちゃん達のそれは痛ましく、悲しく、恐ろしい。学徒動員として労働奉仕を強いられ、機銃掃射に逃げ惑い、乏しい配給でいつも空腹に悩まされていた。親友を徴兵で失った者もいれば、空襲で家族や友人を亡くした者もいる。あの戦争に深くかかわらざるを得なかった世代にとって、あの戦争は彼等・彼女等の心に深い傷を残しているのだ。


7月4日。アメリカ中が大人も子供も独立を祝うこの日は、僕達高知市民にとって、戦没者への鎮魂と、不戦の誓いを新たにする日だ。



参照記事:『高知市における戦災の状況』URL:
http://www.sensai.soumu.go.jp/state/html/39201---kochishi.htm

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