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2010.06.17

香川県、ゼネコンと援交する

僕が小学生の頃、高知で小学生の修学旅行と言えば、高松と小豆島と言うのが定番だった。高知で暮らす小学生にとって、東京のミニチュアになってしまった高松は、高知よりは都会だけどそれ以外に取り立てて魅力的なものは無かったんだけど、小説や映画の舞台にもなった事のある小豆島は、高知みたいな田舎から来た者にとっても、魅力的な渓谷や穏やかな自然に恵まれた、とてもステキな島だった。

その小豆島が今、自民党とゼネコンが計画したダム再開発計画で揺れているらしい。
香川県と小豆島町が、水道用水として、農業用水としての水資源確保と、洪水対策として、あの素晴らしい景観を持つ寒霞渓の至近に存在する内海ダムを、新しい巨大なダムに作り変えようと計画している。
(参照URL:http://www.pref.kagawa.jp/kasensabo/dam/uchinomi/index.html

計画の概要では、面積153.3k㎡、人口32000人とちょっとの小さな島に、西日本最大のダムである、早明浦ダム堰堤よりも堤長の長い(堤長423m)巨大なダムを建設する計画らしい。


ダム開発は、買い戻しが永久に不可能な自然の切り売り。

だと考えるmizzieだけれど、ダムによってもたらされる水資源で生きて行かなければならない流域住民にとって、ダム開発と言うものはただ闇雲に反対する種類のものではなく、開発によって失われる自然や景観、生態系の受ける被害と、開発によって得られるメリットとを秤にかけて、冷静に、科学的に、開発の是非を検討しなければいけないと思うんだけれど、その観点から考慮した場合、この、内海ダム再開発計画は、

ど う 考 え て も 理 に 叶 っ て い な い

まず最初に、新ダム建設が計画されている別当川に、そんな巨大なダムが必要だとは思えないのだ。
別当川の流路延長はたったの3.9km、流域面積は8.8k㎡しかない。そんな小さな二級河川に過ぎない別当川に、なぜ西日本最大の貯水量を誇る早明浦ダムよりも巨大なダムが必要なのだ?
ちなみに、早明浦ダムのある吉野川の流路延長は194km、流域面積は3750k㎡。
早明浦ダムの水を利用する人の数は正確な数字はわからないけれど、香川県、徳島県の大部分と、高知県中部地区で利用されているので、その地区の住民数と同じと仮定するなら、利水住民数は100万人を超える。
対する別当川のそれは、(物理的に不可能だが)仮に小豆島の全島民が利用したとしても、最大で32000人少々だ。

工事計画概要が書かれた香川県のHPによると、内海ダム再開発計画で建設される新ダムは、80年に1度と言われる大雨にも対応出来る能力を持つとされている。過去に観測された洪水の記録では、時間雨量88mmと言うものが最高記録らしいのだが、新ダムはこのクラスの大雨にも対処可能な能力を持たせるとされている。つまり、香川県と小豆島町は、80年に1度あるかないかの大雨に対処する為に、西日本最大のダムよりも堤長の長い巨大なダムを、人口32000人の観光が唯一の産業と言っていいような島に作ろう。と言うのだ。そして美しい山林を、貴重な野生動物達の住処を、ダムによって生み出される人造湖の底に沈めようと言うのだ。

次に水資源確保についてだが、ダム下流域の空撮写真を見る限りでは、ダム下流に農地は殆ど存在しない。すぐ下流まで市街地が迫っており、大規模な工場を誘致する事も出来ないと思われるので、早明浦ダムの様に農業用水、工業用水の事を考慮する必要は殆ど無く、利水はほぼその全てが上水道用水になると思われる。
岡山や香川と言った瀬戸内海地方は太平洋に面した高知とは異なり、年間降水量のとても少ない地域だ。過去には何度も渇水に悩まされ断水や給水制限を経験しているし、安定した水資源の確保は、流域住民にとって悲願でもあるだろう。
しかしながら、小豆島町も日本全国に無数に存在する中山間地と同様に、過疎化、少子高齢化、人口減少と言った問題に直面している。単純に考えても、これから水需要は減少していく自治体なのだ。
内海ダム建設推進派は、生活様式の変化(トイレの水洗化など)によって、今後も水需要は増え続けると主張しているが、家電メーカーはこぞって使用水量を抑えた新型の洗濯機を開発・販売し続けているし、TOTOやINAXと言った水洗便器メーカーも、技術革新を重ねて使用水量を劇的に抑えた新型機種を次々と投入している。比較対象を江戸時代に設定しているのならともかく、昭和を基準に考えているのなら、トイレの水洗化程度で水道使用量が劇的に増加する。と言った香川県の主張に正当性は全く無い。しかも対象となるのは、水資源が豊富で水をジャンジャン使う事に痛痒を感じない高知県民では無く、歴史的に少雨に悩まされ続け、節水がその生活にしみついている、香川県民なのだ。
生活様式の変化で水道使用量が劇的に増加すると言う香川県の主張は、香川県民に対する愚弄、冒涜と言って差し支えないと、高知県民である僕は思うのだが、僕の考えは間違っているのだろうか?

次に、計画されている新ダムの主要緒言を見てみよう。

驚くなかれ。香川県と小豆島町の計画する、この早明浦ダムよりも長大な堤長を持つ新内海ダム。その最大貯水量はなんとたったの106万トンしかない。最大貯水量3億1千600万トンを誇る早明浦ダムの、約300分の1と言う貧弱さなのだ。
地形的制約があって堤高を早明浦ダムの半分以下にしないといけなかったのだが、その堤高で早明浦ダムの300分の1しかない貯水量を確保する為に、早明浦ダムよりも長大な堰堤を作る事になったのだ。
また、堤高106mの早明浦ダムは発電にも利用されているが、堤高が42mしかない内海ダムに、”発電”の文字はどこにもないので、このダムは洪水調整と利水がその目的で、発電能力は無いものと思われる。
ダムによって新たに供給される水量は、日量で約1000㎥。我が家を基準に考えると、3人暮らし世帯約1000世帯分だ。
(ちなみに、1000㎥程度なら早明浦ダムは1秒で放水する)

確かに、新たに水道安定供給が確保される約1000世帯の島民にとって、ダム建設は望ましいものなのかもしれない。しかし、それは早明浦ダムよりも巨大なダムを造らなければ達成されない望みだったのだろうか?
そう思って調べていた私は、日本共産党の香川県委員会が出した、興味深い資料を見付けた。(
http://iwata.jcpweb.net/bt/updata/bt_20090222015811.pdf

それによると、この内海ダム再開発計画、当初は総貯水量15万トンの、ちょっと大きなため池。程度の再開発計画だったらしい。それが7倍の貯水量を誇る巨大ダム建設計画に変わった真の理由は、ゼネコンへの自民党からの利益誘導として、らしいのだ。
巨大ダム建設に切り替わった平成17年段階での、同ダムの計画上での総事業費は196億円。これがもし、当初の計画どおり総貯水量15万トンの小型ダムで建設したのなら、総事業費はこれの3分の1以下で済んだのではないのだろうか?
国交省が定めたダム建設の利益率は7%強らしいが、ゼネコンが請け合うと粗利益は20%近くになるらしい。香川県が音頭を取って内海ダム再開発計画を大型化させたお陰で、ゼネコンが受け取る利益も37億円に増額した。受注する巨大建設会社は笑いが止まらないだろう。
そして、そのゼネコンがフトコロに突っ込む事になる粗利益はその全てが、私達が払った税金なのだ。

次に治水に関してだが、建設推進派の主張では、80年に1度の大雨に備える。と言う新内海ダムだが、時間雨量90mm程度の雨なら、巨大なダムを建設しなくても堤防の補強と言った河川改修でカバー出来ると私は考えている。
治水対策では全国でもトップ5に入ると言われる高知市だが、時間雨量50mmまでなら、24時間365日降り続いても大丈夫。と言われている。98年に洪水に見舞われた時の、2日間での総雨量は900mm超に過ぎなかったが、。瞬間の最大時間雨量は129mmだった。
瞬間的に80mm以上降ったのなら何度か経験のある僕だけど、瞬間的に降る持続しない時間雨量80mmクラスの雨なら、河川改修と下水対策だけで十分対応できる事は、我が高知市が証明してくれている。80年に一度あるかないかの時間雨量80mmクラスの大雨の為になら、現在計画されている巨大なダムなど必要ないのだ。

そう言うと、建設推進派は主張する。河川改修のような治水対策よりも、ダム建設の方が安上がりだと。

確かに、堤防補強や親水地区の新設、下水対策や排水ポンプ場の整備には金が掛かる。しかしながら、建設に高度な技術を必要とされる重力式コンクリートダムは、それなりの技術を持った大手ゼネコン以外には建設が難しい。しかし堤防補強やポンプ場整備なら、地元の土建屋でも十分に対応出来るだろう。
コストは掛かるかもしれないが、巨大ダム建設よりも河川改修の方が地元に対する貢献度は高いのである。

などと、僕がつらつらと述べたてた事くらい、香川県も小豆島町もとっくの昔に十分すぎる位に理解しているだろう。もし理解していなかっとしたら、香川県建設課と言う部署は、楽天家を通り越したただのバカだ。

なのに何故、香川県も小豆島町も、日本三大渓谷と言われる寒霞渓の至近に、巨大なダムを建設しようとしているのだろう?

この記事を読んだ貴方も、一度じっくり考えてみて欲しい。
内海ダムを早明浦ダムよりも長大な重力式コンクリートダムにする事で、一体どこの誰がイチバン利益を得るのだろう?
総事業費196億円と言う金は、誰が誰に何の為に払うのだろう?
そして、水道事業は独立採算制なので、その事業費は最終的にはダムで確保された水資源の利用者となる、水道使用者に水道料値上げと言う形で負担させられる事になるのだが、その事をキチンと知らされた小豆島島民が、一体何人いるのだろう?

そしてこれだけは忘れないで欲しい。
内海ダム再開発によって消失する景観美は、未来も含めた私達全てのものであって、決して香川県建設課や建設推進派の地権者だけのものではないのだと言う事を。

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