« 消費税増税は金持ちのため | トップページ | 日本の消費税は低くない »

2010.07.04

(日本の)法人税は高くない

選挙戦も後半戦に突入した。

自民も、民主も、消費税増税について深く突っ込まれると「消費税増税は一部巨大企業減税による減収穴埋めの為」と言う真の理由がバレてしまうので、そしてそれは選挙を闘う上でとても不利になるので、

「日本が(財政破綻した)ギリシャの様になってもいいのか?」

と言って国民を脅してみたり、

「低所得者には、消費税増税分を(現金で)還付します。」

と言って(効果が薄く実現の為の財源策もない)低所得者対策を提示してみたり、「消費税増税は負担を中・低所得者に押し付け、金持ちをさらに金持ちにする為」と言う本当の理由に突っ込まれる事が無いように、言い訳と言い逃れと詭弁とこじ付けと弁明に躍起になっている。

消費税増税と抱き合わせで実施を目論んでいる法人税最高税率の引き下げ案だが、こちらを正当化させる為に法人税減税賛成派達は、

「周辺諸国と比較した場合、日本の法人税率は高すぎる。周辺諸国と同レベルまで引き下げないと、外国企業は日本に参入なんかしないし、国内企業も海外に逃避する。それは結果として雇用と内需の悪化を招くだけにしかならない。」

「法人税を引き下げて企業体力を引き上げ、強い企業が稼いだ資金を国内で使う事で経済を活性化させなければ、日本経済に明日は無い。」

と主張している。

本当なのだろうか?

日本の法人税実効税率(法人税、法人事業税、法人住民税の合算)は39.54%で、オーストラリアの30%、韓国の24.2%よりも高い。先進国中でも、イギリス28%、フランス34.43%、ドイツ30.18%、イタリア27.5%と、それらの国々と比較しても高い税率となっている。
(参照:OECD Tax database
http://www.oecd.org/document/60/0,3343,en_2649_34533_1942460_1_1_1_1,00.html#cci)

しかしながら、表面上の実効税率だけを比較して、「日本の法人税は世界と比較しても高率なので、25%まで引き下げて世界標準に近付けるべきだ。」と言う財界と自民党・民主党の主張にはとんでもない欺瞞がある。
法人税率が低く抑えられている欧州諸国は、日本の企業よりも遥かに高い社会保障負担を負っているのだ。法人税と社会保障費を合わせた企業の負担率で見ると、日本はフランスの7割程度しか負担していないのだ。
法人税だけを見ると確かに、日本は他の国々と比較すれば高い部類に入るのだが、しかしその分、事業主が負担する社会保険料は低く抑えられている。ドイツ等が導入している事業主負担の環境税に至っては、日本ではそんな税自体が存在せず、企業は環境保護の為の公的負担を全く負ってはいない。
財務省の資料にも、経産省の資料にも、法人税の高さを打ち消す事になるそれらに関する情報はきれいさっぱり抜け落ちている。「情報には常に、発信者の思惑が込められている」と言う情報の基本から考えても、政府が主張する「日本の法人税は高い」と言う主張が、財界の利益を最大化させる為の方便でしかない事は想像に難くない。

さらに、この国の法人税制には、大企業にその負担を軽減させる為の抜け道が多数用意されている。

まずは研究開発減税。
企業が製品開発や技術改良の為に支出した試験研究費の一定割合を法人税額から差し引ける。2007年度決算データから推計すると、この制度によりトヨタ自動車は822億円、キヤノンは330億円の減税を受けている。そしてこの制度による減税額の約9割が、資本金10億円以上の巨大企業だ。

次に外国税額控除。
海外に進出した日本企業が外国で法人税を払う場合、その分を日本で払う法人税から差し引く制度。優遇税制を敷く途上国で法人税減免措置を受けた場合でも、その受けた減免分も払ったものとみなして控除してもらえる場合がある。

さらに連結納税制度。
これにより、子会社や系列企業の赤字を自社の利益に繰り込み、利益を最小化させる事で納税する法人税を減らす事が出来る。

そして損金繰越制度。
最長で過去7年間に渡り、過去の赤字で現在の黒字を相殺出来る制度。この制度のお陰で、国内最大手のみずほ銀行や三菱UFJ、三井純友銀行など国内主要5行はもう10年近くの長きに渡り、法人税を1円も納めていない。
(10年以上法人税ゼロの銀行もある!)

バブル崩壊で巨額の損失を抱え、巨額の税金投入で倒産の危機から救ってもらいながら、損金繰越制度と日銀の超低金利政策のお陰で創業以来最高と言われる巨額の利益を出しておきながら、法人税を1円も払っていない巨大銀行を筆頭に、私が上記で挙げた様々な優遇税制の恩恵を享受する大企業、彼らが実際に払っている法人税は極めて低いのだ。

ソニー 12%

住友科学 16.6%

パナソニック 17.6%

三井不動産 18.8%

京セラ 18.9%

三菱地所 22.5%

など、2003~2009年度決算データから試算した、経常利益上位100社が実際に収めた法人税負担率の平均値は、33.7%しかないのだ。この低い負担率と、フランスの7割程度しかない事業主の社会保険負担割合を考慮した場合、日本の法人が負っている公的負担は、決して高く無いのだ。

日本の法人税が高くは無い。と言うのは、法人税を下げろと主張している経団連内部からも出ている。
阿倍泰久・日本経団連経済基盤本部長は税の専門誌『税務広報』1月号で、法人税について「表面税率は高いけれども、いろいろな政策税制或いは減価償却から考えたら、実はそんなに高くない」との見解を表明。「税率は高いけれども税率を補う部分できちんと調整されている」と説明している。そして、
「他の国がもっと税率を下げてしまったので、調整が必要だと言うのは建前的な発言」だと明かしてもいる。
(参照:しんぶん赤旗2010年6月24日号)

日本の法人税は、決して高くなんかないのだ。

どうしても法人税を引き下げたいと言うのなら、最高税率を引き上げて税率を利益額に応じた累進性とし、事業継続に腐心している中小企業が減税となるような形で行えばいい。

|

« 消費税増税は金持ちのため | トップページ | 日本の消費税は低くない »

コメント

消費税を上げる前に赤字が増える原因をつくった自民党、政治家、官僚の責任を追及して、私財没収して国庫に納めて、少しでも赤字を減らしてからにしてほしいと思います。
我々、低所得者は少ない収入の中で、やり繰りしており、税収の収入が少ないなら支出も減らせばいいだけのことであり、消費税を上げても無駄に使われるのなら、無意味であると思います。
法人税を減らせと言うなら、正社員の雇用を増やせと言いたいです。

投稿: 香川県民 | 2010.07.04 17:03

>香川県民さん
自民党とか官僚とか財界とかの私財を没収して、、、ってのは、僕もそう思います。
税金が他人の金なのをいい事に、好き勝手使って誰も責任を取らないんですもの。
法人税を減らすのなら、”全ての企業は、その企業グループで働く最も賃金の低い者の40倍より多い報酬を得てはならない””全ての企業は、人件費総額より多額の株主配当を行ってはならない”って法律を施行すべきです。

投稿: mizzie | 2010.07.08 22:41

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/8531/48793135

この記事へのトラックバック一覧です: (日本の)法人税は高くない:

« 消費税増税は金持ちのため | トップページ | 日本の消費税は低くない »