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2011.04.01

福島に人を住めなくする東電

福島原発では27日も、東電社員や関連企業社員による、懸命の復旧作業が続いていた。情報の速度と信頼度に関しては、既に世界中から信用を失っている東京電力と日本政府の発表だが、枝野”頼むから寝てくれ”官房長官の27日の発言では、
「(福島)原発の原子炉圧力容器は破損と言う状況ではないだろう。」
「事態収束への努力を続ける。」
と語っていたそうなのだが(残念ながら27日も僕は仕事だったので見ていない)、政府発表を裏読み・深読みするクセが身についてしまった僕の率直な感想としては、

(”破損という状況ではないだろう”ってのは推測であって、さらに楽観的・希望的な思惑に過ぎない。破損しているのかいないのか確認は取れていないし、破損していないと言う根拠はどこにも無い)

(”事態収束への努力を続ける”ってのは、あくまで努力は続けるがそれがどういう結果になるのか、どのような帰結を迎えるのか、現状では政府には判っていないのか、絶望的・破滅的過ぎるので発表出来ないのかのどちらかにちがいない)

としか、考える事が出来ない。枝野長官が頑張っているのは認めるし、現場の作業員達も実際よくやっているとは思うんだけれど、残念ながら、彼等の頑張りが国民に安心感を与えているかと聞かれたら、「否。」としか答える事が出来ない。東電発表、政府発表共に情報量が少なすぎる上にこれまで二転三転してきて信頼がおけないし、発表される情報は曖昧過ぎてどういう風にも解釈出来てしまうからだ。

ただ、これまでの日本政府発表、在日米軍の動き、IAEAの動きなどから推測するに、福島原発はかなりヤバい状況にあるようだ。

セシウムや放射性ヨウ素は、既に東日本のアチコチで検出されているし、その特性や毒性はTVメディアでも散々放映されていたが、セシウム137は半減期が30年もあるのだが、出し続ける放射線の強さはそれほど強くない。が、核分裂反応で生成されたセシウム137が原発の外で検出されていると言う事は、炉心が損壊して炉内の生成物が漏れ出している。と考えるのが自然だし、実際、政府も原子炉に部分損壊が生じた可能性がある事を既に認めているし、1~3号機は(外部で核分裂生成物が検出されている事から)炉心溶融が起きた可能性を指摘されてもいる。
1号炉と3号炉は水素爆発をおこして建屋が吹き飛んでいる状況なので、爆発の映像を見た人には想像出来ると思うが、如何に頑丈に作られたとは言え、あの爆発で原子炉が無傷だったと考えるのは、元・溶接工の僕にとってはとても難しい。
少し専門的な話になるけれど、原子炉は配管やその他の金属部品に、腐食に強く強度も通常の鉄鋼よりもはるかに強いから、ステンレス鋼が使われている。SUS304とかSUS308とかのステンレス鋼だ。そして非鉄金属の溶接をやった事のある人には判ると思うけど、このステンレス鋼の溶接と言うものは、アルミやチタン程ではないにしても、鉄の溶接なんかよりも遥かに難しい。上手に溶接しないと、熱変形で簡単に割れてしまったり割れやすくなってしまうのだ。
原子炉建設や修理には、高度な技術を持った溶接工が必要なのだが、実際の現場には熟練の溶接工なんて殆どいなくて、シロウトに毛が生えた。程度の出稼ぎ労働者とかがあたるらしいんだけど、非鉄金属溶接の経験が無いものが溶接した非鉄金属と言うものは、はっきり言って強度的には難ありなのだ。

確かに、原子炉と言う物は図面上は最高強度の絶対安全仕様になっているであろう事は、想像に難くない。だが、その最高強度の図面を見ながら現場でそれを組み立てるのは、技術に大きなバラツキのある人間なのである。誰が溶接したのかも判らない様な非鉄金属の強度を、信頼しろ。と言う方がどだい無理な話なのだ。
恐らく、福島原発の1~3号機は炉心が損傷しているに違い無い。だから、核分裂生成物であるセシウムやヨウ素が検出されてしまうのだ。

もう起きてしまった事は仕方が無いとも言えない事も無いんだけれど、僕が個人的に、とてもとてもとても憂慮している事があって、それは、福島原発の3号機は、プルサーマル発電だ。と言う事なのだ。

福島原発の3号機は燃料にMOX燃料を使う、プルサーマルをやっていた。つまり、ウランとプルトニウムを一緒に燃やして発電をする原子炉だったと言う事なのだ。そのプルサーマル炉だった3号機は水素爆発を起こし、建屋は吹き飛んでしまっている。そして24日昼に作業員3人が高濃度の放射線を被ばくしてしまったのは、その3号炉だった。

水素爆発で原子炉建屋が吹き飛び、そのタービン建屋で作業していた作業員3人が、高濃度放射線で被ばくして病院に運ばれた。その二つの事象から推測すると、プルサーマル炉である3号機は、炉心溶融による原子炉損壊を起こしている可能性がとても高いし、3号炉の付近では高濃度の放射線が検出されているので、炉心溶融で溶け出た高濃度の放射性元素によって、ひどく汚染されていると思われる。

この件に関して、東電は3号機のプルトニウムは漏れていないのか?メディアからの質問に対して、「計測出来ていません」とだけ発表。

プルトニウムの半減期は2万4千年。

もし漏れていれば、汚染は半永久的。

 

・・・と言う記事を書こうとしていたんだけれど、ちょっとバタバタして書けなくなっている間に現実は僕の予想を負い越してしまって、福島原発ではプルトニウムが検出。脱化石燃料を主張する米オバマ政権だが、「自然エネルギー発電普及促進じゃ俺達が儲からねぇよ!」ってオバマに献金しまくりのアメリカ原子力業界と、その意を受けた識者・学者達は、「事故で漏れた放射性物質、あの流出量なら安全です!」と言って、世界中に広がりつつある原発危険論・不要論の、火消しに躍起になっている。

実際の話、鉄の約3倍の重さを持つプルトニウムは飛散し難く、吸引して肺に沈着さえさせなければ、プルトニウムから放射される放射線は透過性が弱いので、外部被爆は殆ど無いと言われている。致死量は経口摂取で0.26mg以上だけれど、プルトニウムを経口摂取する人もいないだろうからこれも無視していいと思う。

ただ、プルトニウムと言う放射性同位体が、とても強い毒性を持つ危険な元素である事に変わりは無い。その事を踏まえた上で、今、僕等が最も注目していなければならないのは、

福島原発から、どういった種類の放射性同位体が、どれだけの量、どこまで飛散したのか。その汚染範囲は一体何キロまでなのか、そう言った類の情報を、いつ、誰が、誰に向けて、どういった意図を含ませて発信しているのか、と言う事だと思う。
情報には常に、発信者からのベクトルが掛けられている。その情報にはどういったベクトルが掛かっているのか、それを推理しながら情報を吟味していく事だけが、この情報が制御され操作された世界で、僕等が真実に近付く唯一の方法だと思っている。

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コメント

ちょっと慌てて書きましたね。。?
原子炉圧力様気⇒原子炉圧力容器
IAEI⇒IAEA

配管の溶接の話は以前私も原子力発電所建設に関わった方(すでにお亡くなりになった方)の
世間への最後のご奉仕で書かれたHPを見て知りました。
メーカーによる図面の違いで現場で無理やり配管するなんてことも。。
そんなものに対して絶対安全だなんて言えるわけもなく。。

放射性物質は軽いものから飛びやすく、ヨウ素はかなり広い範囲まで飛んでいるようですが、
あれは半減期がかなり短いのでちょっと注意すればいいんですが、セシウム、プルトニウムは半減期が長いですからね。
プルトニウムに至ってはそれこそ半永久的と言っても過言ではない期間。
重いから飛散する距離は。。と言いますが、海が近いので、魚によって広められる可能性があります。
貝類ならまだいいですが、魚は動き回るので、水揚げされた漁港がどこであっても、福島近海を通ってれば経口摂取している可能性があります。
それを人が食べて。。ってことも。

いずれにしても、正確な情報をきちんと出してもらいたいものです。
現場作業員に対しても、我々一般人に対しても。

投稿: ハルシオ | 2011.04.01 08:18

>ハルシオさん

ご指摘頂いた箇所、早速訂正させて頂きました。(^^ゞ
…読み返ししないでアップしちゃダメですね。どうもすみません。sweat01

非鉄金属の溶接ははっきり言って難しい(ただくっつけるだけならカンタンですけど…)から、日本中の原発で安全が現実に担保されている所って、多分無いと思います。

プルトニウムに関しては、核平気を保有している国で大気圏内で核実験をやった国(米露英中仏他)が、世界中にバラ撒きまくってますが、世界唯一の被爆国でCTBT批准国でもある日本がプルトニウム出してちゃダメですよね…。
東電経営陣に関しては、
「あなたは今、何処にいます?あなたの家族は何処にいますか?日本の原発は絶対安全と言って福島に原子炉を何基も建て、一度事故を起こせば末端の社員や協力会社作業員を死地に立たせているあなたと、あなたの家族は、一体今どこにいるのですか?」
って言いたいです。

投稿: mizzie | 2011.04.02 13:47

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