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2011.09.11

国民投票にすればいい

昨日、9月10日夜、テレビでマイケル・サンデル教授が東京、上海、そしてボストンの大学生達と福島原発事故について討論する番組を観ていた。

番組内でハーバードや東京、上海の学生と、マイケル・サンデル教授の間で交わされた議論については、各国の学生達はその答えにお国柄が反映されてるな~って思いながら観てたんだけど、最後の、原子力エネルギーを今後はどうするのか?とのマイケル・サンデル教授からの問い掛けに、原子力は今後も必要。と答えた学生がハーバードは8人全員、上海が2人、東京でも4人がいたのは驚きだった。

地球温暖化問題の事もあり、二酸化炭素を出さない原子力エネルギーは化石燃料に代わる代替エネルギーとして必要。と言うのは中国とボストンの大学生達の意見。そして東京の学生達も自分達が享受している豊富な電力・電気機器に支えられた暮らしを維持する為には、現状では原発に頼らざるを得ない。的な事を答えていた。その答えに対しサンデル教授は、「じゃあ、危険な原発を自分から遠く離れた貧しい地区に金で押し付けるのは正義か?」と問い、原発が自分の住む地区にあっても良いか?と問い掛けた。
その問いに、原発賛成に挙手した学生の何人かはその手を降ろしたが、手を降ろした学生は正直だと思ったし、手を上げ続けた学生は原発の本当の恐ろしさを知らないんだな。って感じた。(福島原発から放出された放射能に晒されている東京の学生が賛成していたのは驚きだったが・・・)

番組はそこから終盤に掛けて、サンデル教授と学生達のやりとりがとても興味深く面白く、観ていた僕はどんどん番組に引き込まれていったんだけど、その番組を観て思った。

原発が抱えるリスクを引き受けるのはイヤだけど、原発のメリットは享受したい。って考える人と、

原発のメリットを受ける以上、原発のリスクだって引き受ける。って考える人、

原発にどんなメリットがあろうとも、それが人間に完全制御の出来ないエネルギーである以上、原発には絶対反対。と考える僕みたいな人がいる。

その3者の意見を統合する為に、原発の是非を問う国民投票をすればいい。と。

そして原発賛成が過半数を超えれば、原発は継続させる。原発反対が過半数を超えれば原発は廃止する。(現実的には老朽化したものから順次、段階的に廃止。となるだろうが)
そしてここがキモなのだが、原発賛成が過半数となった場合、賛成票の比率が最も高かった自治体が原発を引き受ける事。とするのだ。つまり、原発は賛成だけど自分達が引き受ける気は無い。と言うものを認めない。
原子力発電を肯定するのなら、原子力発電所を自分達の住む街で引き受ける義務を負わせるのだ。
例えば、この投票の結果、原発賛成が過半数を占め、原発賛成票の比率が高かった自治体の上位3位が東京都渋谷区と千代田区、大阪市北区だったとする。その場合、東京電力は新潟県の柏原発を渋谷区に、福島原発を千代田区に、関西電力は敦賀半島の原発を北区に移転しフル稼働させるのだ。『原子力発電の継続に賛成か反対か?但し賛成ならば賛成票比率の最も高かった自治体が原子力発電所を引き受ける事とする。棄権票、無効票は賛成とする』と言う条件で投票するのだから、最も賛成票比率の高かった自治体が原子力発電所を引き受けると言うのは、とても民主的で道理にも叶ったやり方だ。

そしてこれは、今、この国が抱える様々な問題にも応用できる。例えば沖縄基地問題。これは『通販生活』の記事にもあったんだけど、普天間基地移設問題も国民投票に掛ければいい。その際、設問には日米安保の是非を問い、賛成票比率の高かった上位10位の自治体に米軍基地を引き受けさせるようにすればいい。と言ったものだ。そして基地を受け入れてもいい。と言う自治体がどこにも無かった(つまり、日米安保肯定が過半数を占めた自治体が皆無だった)場合は、日米安保は即刻破棄するのだ。

【注釈】
日米安全保障条約第10条(一部抜粋)
~この条約が10年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告する事ができ、その場合は、この条約は、そのような通告が行われた後1年で終了する。


日米安保によって、米軍によって、この国が隣国による軍事的脅威から免れている事は、悲しい事だが現実だ。だが、米軍によって提供される安全を享受しながら、それによって引き起こされるリスクの7割を僅かな交付金と引き換えに沖縄に押し付けるというのは、どう考えても道理に叶わない。

自民党支持者や日本草の根ネオコンの様に、米軍はこの国の安全の為には必要だ!と言うのは簡単だ。だが、日米安保の美味しいトコ取りをしてリスクとデメリットを岩国や三沢や沖縄といった、自分から遠く離れたどこかの田舎に押し付ける。といった醜悪な事は道理に反している。だから、
日米安保がどうしても必要だと言うのなら、米軍基地は自分達の住む街が引き受けろ。

そして、日米安保反対。と言うだけなら簡単だ。だが日米安保を破棄するのなら、自国の安全を自分達だけで守る必要が生じる。自衛隊の軍事性や憲法9条をどうするのか?と言う新たな問題が生じるのだ。

今、我が国にはどのような脅威が存在し、その脅威から自国を守る為には何をどれだけ必要としているのか、そう言った情報をキチンと国民に対して説明し、その上で、日米安保をどうするのか、存続ならどこが基地を引き受けるのか、破棄なら自国の安全をどうやって守るのか、それらをカネと欲にまみれた少数特権層が密室で決めるのではなく、全ての国民が民主的に、投票と言う国民全体の総意による意思表示によって決定し、その結果生じるメリットは国民全体が享受し、デメリットも国民全体がこれを引き受ける。

これこそ、民主主義の正しい姿では無いのか?例えその結果国が滅びる事になろうとも、それは多数派国民が正しい選択をしなかった結果であり、誰の責任でもない、日本国民の責任なのだから。

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コメント

防犯上の観点から戸建てよりもマンションの中層をと考えてマンションを購入した私は、
電気とは切っても切り離せない暮らしになってしまいました。
個人的にはエレベーターは極力使わないなどは行ってますがね。。

今の生活、電気というエネルギーを利用する前提で成り立っています。

創電、蓄電をどうするか。
蓄電する以上は家電は直流で動いた方が良い。
そうすれば50Hzだの60Hzだの言わなくて済むし。
ただ、直流は送電でのロスが大きい。
色々と難しい問題は山積です。
でも、日本の技術力を持ってすれば全部解決できると思います。

個人的には原発は段階的になくす方向で、
それまでの間に創電方法を確立するというのにしてもらいたいですね。


基地についても非常に難しい問題で、
ある意味防衛最前線という観点で沖縄は0にはできないでしょうね。
後は攻撃されたら困る大都市圏を中心に配置するか、
米さんとは縁を切り、自衛隊のみでやっていくか。

その際、諸国のように徴兵制は必要になってくるでしょうし、
アジア諸国がそれを許すかどうか。
1億総兵隊とすればいいのか、それとも隣国が攻め入った時に、属国となる道を選ぶのか。

みんな、当たり前のようにあるものが実はとても特別で、
考えなきゃならないことがたくさんあるんだという事を忘れてしまってますよね。

投稿: ハルシオ | 2011.09.11 19:44

こんにちは。


あくまで哲学的思考実験としての意味ではありますが、「賛成者が負担を受け入れる仕組みづくり」は非常に重要な指摘だと思います。

たとえば、映画『10万年後の安全』で地層処理施設建設に従事していた北欧の専門家たちは、「原発がある以上逃れられない責任がある」というスタンスを堅持していましたが、日本の「賛成派」にはそういうスタンスはあまり見られませんから(粉飾決算の皮算用しかしていない連中です)。


まあ、実際には、原発や軍事基地は「どこに作ってもかまわない」というものではないので、あくまでも理論的な意思表示の正統性の問題とはなってしまうのでしょうが。

あと、むしろ「巨大経済活動施設」の誘致に積極的になる自治体も出てきてしまうかもしれませんね。投票率で誘致に成功できるなら、都市部より地方の方が誘致に積極的になるかもしれません。電気欲しさは都市部の方が積極的でしょうが、電気は原発以外の方法でも生産不可能とはいえないのに対し、あのすさまじい利権は原発でなければ無理(と勝手に思われている)という面もありますから、むしろ地方部の方が原発推進に積極的になる可能性もありそうです。利権欲しさに原発賛成する人間が多数現れて(利権が欲しい人間に誘導される人間が多数現れて)、都市部の反対にもかかわらず原発が是認されてしまう、なんてことも起きてしまったりして。まあ、あくまで思考実験の域を出ませんが。


おそらく、現行制度は、このエントリのような先鋭的な決断を国民全体に強いることなく、一部の人間にリスクとコストの大半を押し付けながら、別の一部の人間に利益を集中させることを認める仕組みなんだと思います。その結果、大多数の国民はある程度のメリットは得ますが(電気を大量に使える程度のもの)、基本的に無関係な状態にあって、メリットもデメリットも中途半端なまま、無関心層として賛成の票に数えられている状態なのでしょう(その意味で「棄権を反対票と数えるべき」という本文内の指摘は重要だと思いました)。

もしかしたら、一般人たちが一番享受している利益は、思考停止したまま日常生活を送れるということなのかもしれません。そこで何か問題があったときだけ文句を言える立場にいられるという。ただし今回の原発事故レベルの危機については、さすがに文句を言うだけでは済まない話になっていますが。

1 デメリットの一極集中の緩和
2 利権集中の解体
3 個々人の明確な意思表示の機会(リスクの受け入れ)

の3点は同時に進めなければならないと思います。このエントリの方法は実際にはむつかしくても、少なくとも論理的にはこの3つをすべて含むものになっていますね。

投稿: ボクシングファン | 2011.09.13 12:53

コメントへのレスが遅くなって大変申し訳ありません。

>ハルシオさん

これは僕の個人的見解ですが、今の日本の技術力を持ってすれば、今は殆ど使われていないけれど無尽蔵にある波力や潮力で一定量の電力を安定的に発電させ、それをもって風力や太陽光発電での不安定さを補う事と、それらを商業ベースに乗せられるだけの高効率化された発電モジュールの開発は不可能ではないと考えています。
全原発の即時停止は非現実的ですが、そうやって技術革新によってクリーンなエネルギーによる発電を普及させつつ、原発から段階的に撤退して行く事こそ、この国が取るべき道だと思っています。

米軍基地に関しても、地政学的な要衝にある沖縄から全ての軍事基地を撤去させるのは、現在の東アジア情勢を鑑みるに非合理ではありますが、日本に存在する米軍基地の7割を沖縄が引き受けている現状は、正さなければならないと思っていますし、その為には本土がある程度の負担を受け入れるべき。だと思っています。
自衛隊の軍事性を認め、現在の志願制を廃止して徴兵制にした場合、隊員の質と士気が下がる可能性が高いので、現在の日本では徴兵制は取るべきではないと思います。

>ボクシングファンさん

>むしろ地方部の方が原発推進に積極的になる可能性もありそうです。

僕は、それを有権者が自らの意思で選んだのであれば、そうすればいいと思っています。
我が高知でも30年程前に、原発誘致の話が持ち上がりましたが、その時は「カネと引き換えに先祖から受け継いできた自然を売る事は出来ない!」と主張する住民達が反対派を結成し、共産党と組んで利権に目がくらんだ町長をリコールに追いこみリコール選挙で賛成派町長を落選させ、原発誘致を撤回させた過去があります。四万十川源流の梼原町と、サーフィンのメッカである東洋町に持ち上がった核廃棄物処理場誘致案も、その後の住民投票で撤回に追い込まれました。
他の都道府県民がどうなのかわは判りませんが、我が高知を観る限りでは、多数派住民は「カネと引き換えに自然を売り渡すくらいなら、貧乏暮らしをする方がマシだ」と考えており、利権に目がくらんで原発や原発関連施設を誘致しようとするのは、賄賂と利権がダイスキな少数の利権政治屋(主にJ眠党です)とそれに群がる守銭奴達だけで、投票率で原発の存続か廃止か、また誘致するかどうかが決まるのなら、電気をガンガン使いたい人達以外は原発反対に票を投じると思います。

>おそらく、現行制度は、このエントリのような先鋭的な決断を国民全体に強いることなく、一部の人間にリスクとコストの大半を押し付けながら、別の一部の人間に利益を集中させることを認める仕組みなんだと思います。

はい。僕もその通りだと思っています。
そしてそれは改めなければいけないと思いますし、貴方様がご指摘なされた、
1 デメリットの一極集中の緩和
2 利権集中の解体
3 個々人の明確な意思表示の機会(リスクの受け入れ)
を現実化させる為の手段の一つとして、このエントリーに書いた国民投票案と言うものを考えました。

投稿: mizzie | 2011.09.15 01:20

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