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2014.01.22

もったいないので・・・ その4

古い文書フォルダ整理してて見付けたボツ原稿、埋めさせるのはもったいないから昨日、一昨日、3日前のエントリーで発表させてもらってるんだけど、他にもあるから今日も続けて発表しちゃいます。

これは2013年7月12日作成の文章。

『参院選への意見』 

~TPPは国を滅ぼす~

アンケート結果などを見ていると、TPPは、人口密度の高い自治体ほど賛成派が多くなり、所得が高くなるほど参加支持する人が増えている様だ。

なるほど、それは少し考えてみれば判る。TPP加盟で直接不利益を被るのは地方に住む農林漁業従事者だし、可処分所得が多ければ農薬まみれの輸入食品など買わなくても、高級食材を扱うデパートや通販で、高価だが安全で安心な食材を買えるし、公的医療が崩壊する事によるリスクよりも、保険適用外の高度先進医療を自由に使えるメリットの方が勝る。
日額10万円の差額ベッド代金を必要とする特別室に入る事の出来る経済力のある者にとって、公的医療がどうなろうと関係無いのだから。

TPPは完全自由なアメリカ式資本主義システムを基盤としているので、最先端・最高品質だが最高値の商品・サービスの購入が出来る所得上位層にとって、平均レベルの質が劣化する事よりも最高級品の購入が容易になるメリットの方が勝る。
しかしそれは、20mlの注射1本が10万円、1回の治療での診療報酬が数十万円と言う、保険適用の無い最先端医療機器、医薬品、治療法による高度医療を全額自費負担では受けられない、中間層~所得下位層にとって、TPPへの参加は自分達の受ける医療の質が劣化するだけでなく、治療費を賄えない為に、治療や生きる事それ自体を諦めさせられる社会(現在のアメリカはそれだ)を受け入れる事を意味する。

公的医療保険制度が充実している我が国だが、民間医療保険で儲けたいアメリカ資本は当然、『悲関税障壁』として、日本の健康保険制度を攻撃するだろう。我が国に先行して民間医療保険の自由化を実行したドイツでは、病気になるリスクが低い若者と金持ちは、低い掛け金で充実した医療が受けられる民間医療保険に移行、病歴や年齢によるリスクで保険料が決まる為、持病のある者や高齢者は高すぎる民間医療保険に加入する事が出来ず公的医療保険に残った為、当然、公的医療保険は保険給付が保険料収入を食い尽くして大幅赤字となり、財政健全化の為に給付抑制せざるを得なくなった。つまり、公的医療保険では受けられる医療の質と量が劣化・低下したのだ。日本がTPPに加盟し民間医療保険が自由化されると、日本も医療はアメリカ化して、結果、医療格差が拡大したドイツと同じ事が繰り返されるだろう。TPPは医療に関しては、都市部で暮らす年収1500万円以上の所得上位者以外には、何のメリットも無いばかりか、リスクとデメリットしかない多国間経済協定なのだ。

では食と農業に関してはどうだろう?

TPP加盟により全ての輸入関税が撤廃されると言う事は、広大な農地で大量生産された、安価な輸入農産物が店頭に並ぶと言う事だ。日本人の口に合う米は日本でしか作れなかったのは昔の話で、日本人の口に合うようにと品種改良を重ねてきたカリフォルニア米と、ブランド米以外の国産米とでは、私がアメリカで暮らしていた2003年の時点で既に、その味には全く差が無かった。

寿司ブームで米の需要が増え小売価格が値上がりしたアメリカでは、高級種とされているアメリカ産コシヒカリ10kg辺りの単価は\2500~\3500程度($1=\100で換算)で、国産米との価格差は殆ど無く、日本米に味は若干劣るがその差はほぼ皆無。な中粒種でも、10kg辺りの単価は~\2500程度。国産米が10kgで\4000前後なので、輸送コストを考えると国産米とアメリカ産米には店頭価格では殆ど差が無い様に、日本産米も米国産米相手なら国際競争力がある様にも見える。

しかし、店頭価格では差が無い様に見える米国産米と日本産米だが、米国内で現地滞在日本人、日系人を相手にしているスーパー等での店頭価格だけで、内外価格差を判断するのは危険である。

米国で暮らした事のある者なら判ると思うが、資本主義経済がある面において先鋭化している米国では、全ての商品・サービスは売れなくなるギリギリまで値段が釣り上がる。例えば日本のスーパーマーケットやドラッグストアで売られているシャンプー(日本メーカーの品)。日本では500mlボトル1本が\598とかで売られているが、これがサンフランシスコのニジヤ(日系のスーパー)に行けば、全く同じ商品が$14.99($1=\100換算で約1500)で売られている。日本人の髪質に合ったそのシャンプーは、その値段でも現地滞在日本人が買うからだ。TPPによる内外価格差を問題にする場合、注視しなければならないのは店頭価格ではなく、生産コストなのだ。

生産コストで見れば、省力化と効率化が進んだ日本の米は、60kg(1俵)辺りの生産費は\15000程度まで下がったと言われている。対するに、地平線が見える程広大な農場で大規模生産されるカリフォルニア米の生産費は、60kg辺り\1900前後と言われている。機械化・省力化・効率化が進んだ国内米作農家にこれ以上のコスト削減を求めるのはほぼ無理だろうし、この生産コスト差を見る限り、国内米作農家はアメリカ米作農家に対する価格競争力は皆無だ。国産米も「あきたこまち」や「天空の郷」、窪川米など一部の高級ブランド米は生き残る事が出来るかもしれないが、国産米でも低価格帯に属する米(主に外食産業が購入している)はその殆どが、米国産に置き換えられてしまうだろう。そしてそれは国内の小規模米作農家のほとんどが、米国資本に駆逐されてしまう事を意味する。

TPP推進論者(主に日本経団連と経産省だ)達は、「既に関税が3%まで低下している野菜では、市場のほぼ全てが国産だ。全ての関税を撤廃しても農業への影響は少ない。」などと詭弁を弄しているが、収穫後の品質劣化が早く、輸送に常温コンテナによる船便輸送が使えない(つまり輸出には向かない)野菜と、元々が常温での長期保存を前提としている、収穫後農薬をガンガン使って防腐と防害虫の対策さえしておけば、常温コンテナでの船便輸送で問題がほぼ皆無な米とを、同じ土俵で論ずる事には無理がある。ただ一つだけ確信を持って言えるのは、現行で778%もある米の関税が0%になれば、市場に流通している低価格米はその殆ど全てが、カリフォルニア米やタイ米に置き換わってしまう。利益最優先の一部外食産業は、どの米を使うかの決定要素に安全性や品質よりも安さの方を重視するし、政府の成長戦略で企業の国際競争力強化を口実に賃金をさらに抑えられ、消費税増税で購買力を引き下げられる事になる中・低所得者にとって、10kg\2500の国産米はぜいたく品で、10kg\1500の輸入米しか買えなくなっているだろうから。

そして危険なのは価格差で国産品が駆逐されてしまう事だけではない。消費者団体、業界団体、生産者が脈々と守り続けて来た「食の安全」は、TPP加盟によって恐らく崩壊してしまう。

まず最初に、『非関税障壁』と言われて、「無農薬」、「有機栽培」や、「遺伝子組み換え作物不使用」の表示が禁止されてしまうかもしれない。例えば今、スーパーで豆腐を買うと、それが遺伝子組み換え作物不使用であれば「遺伝子組み換え大豆は使用しておりません」とパッケージに表示されている。自然食品を扱う店だけでなく一般のスーパーでも「無農薬栽培」、「有機栽培」と表記された野菜はごく普通に見る事が出来る。しかしこれらの表示を、化学肥料と農薬をふんだんに使った広大な農場で栽培する、一株辺り収穫量を異常なまでに増大させた遺伝子組み換え作物を大量に売りたい米系農業株式会社から、「あれは非関税障壁だ」と指摘されれば、もう自分達の作った作物の安全性を消費者にアピールする事は出来なくなる。

次は、消費者や団体が長年の苦闘の末に勝ち取ってきた、農薬や化学肥料についての規制だが、これらの法規制もISDS条項(企業・投資家が不利益を被った場合、国際投資紛争解決センターに提訴出来る。と言う条項)によって、「日本の○×規制法によって、我が社の製品が利益を減じさせられた!」とイチャモンを付けられて、政府や自治体に法外な賠償金が科せられるかもしれないし、法改正を要求されるかもしれない。TPP加盟によって我が国の一般庶民は、アメリカでさえ低所得者ぐらいしか食べない米国産大量生産農業製品しか食べられなくなってしまうかもしれないのだ。

そして最後に、TPPがアメリカ以外の加盟国にとって最悪な経済協定である要因は、「離脱が難しい」と言う事である。建前上は一応、「離脱は自由」となってはいるが、実際に離脱しようとすると、TPP離脱によって利益を減じさせられる事になる企業(主にアメリカ多国籍企業群だ)から、損害賠償請求を国際投資紛争解決センターに提訴されてしまう事は想像に難くない。TPPは一旦加盟してしまえば、医療・福祉(恐らく教育も)をアメリカに牛耳られて益は少なく負担は重くなり、そうして受けられるサービスは質的低下と劣化を起こす事は間違いなく、食の安全も崩壊し、安価だが汚染された食品しか食卓に並ばなくなっているだろう。そうして、TPP加盟で事態が抜き差しならない事になってから慌てても、その時には既に、加盟国はTPPから抜けるに抜けられなくなっているのだ。

上で述べた様に、TPPは目先の利益に釣られてこれに加盟してしまうと、間違いなく国を滅ぼす事に直結してしまうだろう。今、自分達が享受している安全と幸福を子供世代にも引き継ぎたいと思うのなら、TPP加盟は何が何でも阻止せねばならない。と強く思う。







参照記事:『国府田農場』
http://www.pioneerhonor.jp/pioneer/us/kodafarm.html

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